Disc Review

They Got It All / Lester Winchester McKendree (self-released)

ゼイ・ガット・イット・オール/レスター・ウィンチェスター・マッケンドリー

ニュー・グループではありますが。ジャケット見ればわかる通り、メンバーは腕ききのベテラン・セッションマン3人。

覆面サーフ・ロックンロール・インスト・バンド、ロス・ストレイトジャケッツと言えば近ごろはニック・ロウと組んでごきげんな演奏を聞かせてくれていることでおなじみだけど。それよりも前、初期10年間くらいバンドのドラマーだったことでもおなじみ(おなじみじゃねーか…)、ジミー・レスター。ビリー・ジョー・シェイヴァーやウェブ・ワイルダーとも仕事してきている腕きき。

そして、エミルー・ハリス&ザ・ナッシュ・ランブラーズとかブライアン・セッツァー・オーケストラ、プラネット・ロッカーズなどで活躍してきたウッドベースの名手、マーク・W・ウィンチェスター。この人はセッション・ベーシストとしてだけでなく、2008年くらいからソロ・アルバムを出したりもしてきていて。

さらに、そんなウィンチェスターとともにブライアン・セッツァーをバックアップしたり(『ロカビリー・ライオット』は痛快な名盤だったなぁ…)、デルバート・マクリントン、ジョージ・サラグッド、ジョン・オーツ、T・グレアム・ブラウンなどのバックでいいプレイを聞かせてきたキーボード奏者、ケヴィン・マッケンドリー。

そんなナッシュヴィル系の腕ききセッション・プレイヤー3人が結成した新ユニットがレスター・ウィンチェスター・マッケンドリーだ。2017年にEストリート・バンドのギャリー・タレントのソロ・ツアーでバックを務めたことをきっかけに意気投合し、ライヴ活動を経て結成されたのだとか。

ギター・レスの、ドラム+ベース+キーボードという、まあ、いわゆるピアノ・トリオ編成ではあるのだけど。ただ、ウィンチェスターがこのユニットで使っているエレクトリック・ベースが、なんと2弦! 4弦でなく2弦。モーフィンのマーク・サンドマンにインスパイアされたものらしく、この2弦ベースをベース・アンプとギター・アンプの両方に同時に通すことで、ギターの代わりとなるリフやコード感と低音域をベース1本で同時に表現する、と。いやー、キャラが立ってるというか…。

インストが2曲。あとは歌もの。ヴォーカルおよびソングライティングを中心となって担っているのはウィンチェスターみたいだけど。3人がっぷり組んで、ロカビリー、サーフ・ロック、ブギウギ、ロードハウス・ロックなどを凝縮したオーセンティックかつ遊び心あるサウンドを展開していく。オープニング・チューンが「アイム・ノー・アマチュア」ってタイトルなのもいかしてます。

3人とも売れっ子で忙しかったようで、レコーディング・セッションはわずか2日間。テネシー州フランクリンにあるマッケンドリーのロック・ハウス・スタジオで。当然、どの曲もライヴっぽく録音されていて。余計な装飾なし。熟練の職人どうしならではの、真剣さとユーモアとを併せ持つルーツ・ロックが展開されている。ウィンチェスターの2弦ベースを、レスターのステディなグルーヴががっちりバックアップし、マッケンドリーの多彩なキーボードワークがいい感じにバリエーションをつけて。

正直、全曲サイコー! というわけでもないのだけど。全曲、憎めないというか(笑)。次もあるといいな。楽しみ。今のところデジタル・リリースのみみたいだけど。フィジカル、それも絶対ヴァイナルがほしいところです。

Resent Posts

-Disc Review
-,