Disc Review

Buddy Miller / Buddy Miller (New West Records)

バディ・ミラー/バディ・ミラー

ソロ名義のスタジオ・アルバムとしては15年ぶり?

バディ&ジュリー・ミラー名義としては、2023年に『イン・ザ・スロウズ』が出ているけど。それでも3年ぶり。ソロ名義だと2016年にライヴ・アルバムがあったから、そこからでも10年ぶり。さらに前述の通り、ソロ名義のスタジオ作となると2011年の『ザ・マジェスティック・シルヴァー・ストリングス』以来。

いやー、お待ちしておりました。

バディ・ミラーの新作です。タイトルもずばり『バディ・ミラー』。まあ、自身名義の作品作りだけでなく、その間もあちこちでちょいちょいギターを弾いたり、プロデュースしたりしていたからごぶさた感はないのだけれど。ここにきてついにセルフ・タイトルド・アルバム! というのはぐっとくる。

なんと録音場所は自宅のキッチンだとか。キッチンを片づけて、そこにドラム・セットを持ち込んでのレコーディング。最高だ。リラックスした環境で、制約されることなく作り上げられたのは、カントリーあり、ソウルあり、ゴスペルあり、ロックンロールあり…の世界線。まさにこの人ならではのカントリー・ソウル系アメリカーナじゃありませんか。

いきなりオープニング・ナンバーがガーネット・ミムズが1964年に歌ったジェリー・ラガヴォイ&ボブ・エルジン作品「アズ・ロング・アズ・アイ・ハヴ・ユー」のカヴァー。マクラリー・シスターズのコーラスを従えて、色褪せることのないグルーヴを聞かせてくれる。年季入ってるから。むりくりレトロ・ソウル風味を…みたいな感じじゃないところがいい。身体にしたためたグルーヴを素直に表出するだけでこうなります、的な?

もちろんジュリー・ミラーの存在は相変わらず大きくて。全12曲中5曲がバディ&ジュリー、あるいはジュリーさん単独でのオリジナル曲。ヴォーカルでも最高の貢献を聞かせている。これらが素晴らしいのはいつものことながら。

しかし、それに加えて今回はカヴァーものがいい。ダン・ペンをデュエット・パートナーに迎えてかつてテンプテーションズが歌ったスモーキー・ロビンソン作品「ドント・ルック・バック」をカヴァーした必殺トラックあり、そのダン・ペンが作った名バラードをバディさんひとりでカヴァーした「ノット・イナフ・タイム・トゥ・チェンジ」あり、マイケル&タニアのトロッター夫妻からなるザ・ウォー・アンド・トリーティとともにジェシ・ウィンチェスターの1976年のアルバム『レット・ザ・ラフ・サイド・ドラッグ』に入っていた「レイ・ダウン・ザ・バーデン・オヴ・ユア・ハート」をカヴァーした胸締め付けるトラックあり…。

けっして誰もが知ってるおなじみ曲ってわけじゃないけれど、ソングライターからソングライターへ、歌い手から歌い手へ、静かに、しかし確かに生き続けているアメリカの歌が時を超えて手渡されているのだなという実感が味わえて。

来週のCRTでもかけられるかな。ぜひみなさんと分かち合いたい“歌”たちです。言うまでもなくバディさんのギターもまたごきげん。

他の客演陣も、ショーン・コルヴィン、ジム・ローダーデイル、リー・アン・ウォマック、エミルー・ハリス、ラリー・キャンベル&テレサ・ウィリアムズ、アシュリー・モンロー、エリザベス・クックなど。すごい顔ぶれがバディさんちのキッチンを訪れたもんだなぁ…。

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