Disc Review

We Gotta Sing! The Soul Years 1962-71 / The Drifters (Strawberry/Cherry Red)

ウィー・ガッタ・シング!〜ザ・ソウル・イヤーズ 1962-71/ザ・ドリフターズ

今朝はまず業務連絡から(笑)。

2015年以来、毎夏・毎冬、恒例で開催している早稲田大学エクステンション・センターでの講座『英米ロック史〜ロックンロールの創始者たち』。またやります。来年の1月から2月にかけて、毎週土曜日の13時から14時半にZoomウェビナーを使用したオンライン講座。

毎回ひと組ずつ、偉大なアーティストをピックアップ。1時間半にわたり、その功績を振り返る講座ですが。今回も全5回。取り上げるのは、アレサ・フランクリン、ドゥービー・ブラザース、ローラ・ニーロ、バディ・ホリー、そして、はっぴいえんどという顔ぶれです。

別に早稲田の学生さんじゃなくてもOK。誰でも受講できます。パソコンでご覧の方は右のサイドバー、スマホでご覧の方は下のほうにインフォメーション乗せておきますので、詳細チェックしてみてください。よろしく!

あと、今回はその前哨戦というか、プロモーションというか、そんな感じで、今週末、12月11日の16時から30分間だけ、無料体験講座も行ないます。アレサ・フランクリンの回をぎゅっとダイジェストにしてお届けする予定。エクステンション・センターの講座未体験で、ご興味ある方、試しにチェックしてみてはいかがでしょうか。タダだし(笑)。無料体験講座アレサ・フランクリンの回の詳細はこちらへ。


というわけで、今朝のピックアップ・アルバム。

ドリフターズです。カトちゃんのほうじゃなく。アメリカのドリフターズ。1953年の結成以来、70人近いメンバーが出入りしながら、なんと現在もなお活動を続けているという名門R&Bヴォーカル・グループだ。グループの顔とも言うべきリード・シンガーも時期によってくるくる変わっている。

結成当初はクライド・マクファター。彼が1955年までリード・シンガーをつとめつつ、「マネー・ハニー」「サッチ・ア・ナイト」「ハニー・ラヴ」などごきげんなR&Bナンバーをヒットさせて。マクファターのソロ独立後は、「ルビー・ベイビー」を歌ったジョニー・ムーアや、「ドリップ・ドロップ」を歌ったボビー・ヘンドリックスがリードをつとめた時期があって。

で、1959年、「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」を歌ったベン・E・キングの時代へ。このベン・E・キング時代、1960年にかけて「ダンス・ウィズ・ミー」「ジス・マジック・モーメント」「セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー」「アイ・カウント・ザ・ティアーズ」といった名演が生まれているわけだけれど。

今朝、取り上げる盤は、その後のドリフターズの作品をコンパイルしたアンソロジー。ベン・E・キングがソロ・シンガーとして独立した後の音源を集大成したCD3枚組だ。なんでも英ウェスト・エンドで初の黒人女性マネージャーとしてドリフターズを手がけたフェイ・トレッドウェルを題材にしたミュージカルが上演され始めているらしく。それに合わせたリリースなのかも。

といっても、ここからのドリフターズもものすごくいいのだ。リード・シンガーをつとめているのは、ルディ・ルイス、チャーリー・トーマス、返り咲きのジョニー・ムーア、ビル・フレデリックスといった顔ぶれ。この時期に、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィン作の傑作「アップ・オン・ザ・ルーフ」とか、バリー・マン&シンシア・ワイルがジェリー・リーバー&マイク・ストーラーと共作した「オン・ブロードウェイ」とか「オンリー・イン・アメリカ」とか、バート・バーンズ&ジェリー・マガヴォイ作の「ワン・ウェイ・ラヴ」とか、ケニー・ヤング&アーティ・レズニック作の「アンダー・ザ・ボードウォーク」とか、重要なヒットがたくさん生まれている。

と、そんな時期、1962年6月28日から1971年1月5日にかけて、ドリフターズがアトランティック・レコードに残した音源をクロノロジカルにまとめあげたCD3枚組が本作『ウィー・ガッタ・シング!〜ザ・ソウル・イヤーズ 1962-71』。1曲だけ1982年録音のボーナス・トラック入りの全76曲。チェリー・レッド傘下のストロベリー・レコードからのリリースだ。編纂を手がけたのは、つい先日、10月に74歳で残念ながら亡くなったボブ・フィッシャー。

「アップ・オン・ザ・ルーフ」のカップリング曲、キング&ゴフィン作の「アナザー・ナイト・ウィズ・ザ・ボーイズ」で幕開け。前述したような大ヒット・シングル・チューンを交えつつ、バート・バカラック&ハル・デヴィッド作の「レット・ザ・ミュージック・プレイ」や「イン・ザ・ランド・オヴ・メイク・ビリーヴ」、オーティス・ブラックウェル作の「アイ・フィール・グッド・オール・オーヴァー」、マン&ワイル作の「アイル・テイク・ユー・ホーム」や「ウィー・ガッタ・シング」、ヴァン・マッコイ作の「ラット・レイス」、エリー・グリニッチ&ジェフ・バリー作の「アイル・テイク・ユー・ホエア・ザ・ミュージックズ・プレイング」、バート・バーンズ絡みの「ユー・キャント・ラヴ・ゼム・オール」や「アレサ」、ケニー・ギャンブル作の「チェインズ・オヴ・ラヴ」、ダン・ペン作の「ファー・フロム・ザ・マデニング・クラウド」など、重要作が次々登場する。1966年以降、ボブ・ギャロ、ロニー・サヴォイ、シル・ジョンソン、ボール・ヴァンスといったプロデューサー陣の下で録音した、けっこう攻めた音源にも注目だ。

さらに、1967年にボブ・ベイトマン&ルー・コートニーのプロデュースで録音された「アイ・ディグ・ユア・アクト」と、1969年にスワンプ・ドッグのプロデュースで録音された「ユー・アンド・ミー、トゥゲザー・フォーエヴァー」という2曲の未発表音源も。ラストには1982年にベン・E・キングが一瞬、1982年に返り咲いて録音したアーサー・アレクサンダー作品「ユー・ベター・ムーヴ・オン」がボーナス収録されてます。

「マネー・ハニー」も「セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー」も入っていないけど、この時期のドリフも大切に、ね!

【追伸】
さっき友人から教えてもらったのだけれど、サブスクのストリーミングだとディスク1の19曲目に、なぜかロルナルド・ウェストレイ&ワイクリフ・ゴードンの音源が入っているみたい。たぶん配信のミスかな。本来ならばこの位置に「アンダー・ザ・ボードウォーク」のシングルB面曲「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ゴー・オン・ウィズアウト・ユー」が入ります。

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