
リトル・フィート・ファースト(デラックス・エディション)/リトル・フィート
リトル・フィートのオリジナル・アルバムのデラックス・エディション。これまでもいろいろ取り上げてきていて。
どれも盛り上がる盤ばかり。ただ、国内盤に関しては、アメリカで出てからだいぶ間を置いて、ようやく出るという、なんとも昔ながらのパターンが多くて。まあ、もともとリトル・フィートの場合、日本で出た初めての国内盤がオリジナル・アルバム4作目にあたる『アメイジング!(Feats Don’t Fail Me Now)』だったわけで。『ディクシー・チキン』もリアルタイムでは出なかったくらい。遅れて当たり前、みたいな?(笑)
それはあまり関係ないとは思いますが。このほど、彼らが1971年にリリースしたファースト・アルバムの拡張エディションの日本盤。出ました。アメリカでは今年4月にライノ・レコードから出たもので。レコード・ストア・デイに合わせてアナログ2枚組も出ていたっけ。それがようやく国内盤でも発売になって。
間もなくビル・ペインを要とする現在のラインアップでの来日も予定されているし。それに合わせたのかもしれないけど。
とにかく日本盤、出ました。マザーズ・オヴ・インヴェンションに一時在籍していたローウェル・ジョージが、ドラッグ観の決定的な違いからフランク・ザッパ親分と袂を分かち、たまたまマザーズのオーディションを受けにきたビル・ペインに声をかけ、続いてかつてザ・ファクトリーというバンドの仲間だったリッチー・ヘイワードと、マザーズの同僚ロイ・エストラーダを勧誘して制作したデビュー作。プロデュースはラス・タイトルマン。
オリジナル・リリース当時、ぼくはもちろんリトル・フィートの存在すら知らず。このアルバムを手に入れたのもずいぶんと後になってから。初の国内盤『アメイジング!』を買った後だったから、たぶん1974年だったか1975年だったか。そのくらい。
なもんで、『ディクシー・チキン』以降、ポール・バレア、ケニー・グラッドニー、サム・クレイトンを迎え入れた最強の6人編成によるサウンドをすでに知ってしまった後で本ファーストにも接したわけで。あれー、最初はこんな感じだったんだ…と、買ったばかりのころはちょっと微妙な気分になったことを覚えている。
とはいえ、昔はアルバムを買っちゃったら、ちょっとしっくりこなくても、もう好きになるまで聞きまくる、みたいな(笑)。そんな勢いで聞き続けるうちに、当初は気づかなかったデビュー盤ならではの“熱”のようなものが全編に漂っていることもわかり。徐々に楽しくなってきて。
ローウェルとビルが目論んだという、初期のザ・バンドにも通じる超ジャンルな独自のグルーヴはまだ本格的に実践できずにはいるものの、ロックンロール、ブルース、カントリーなどを一緒くたに煮込んだ独特のよじれ感の萌芽は随所に聞き取れて。だんだん胸が躍り始めた。ライ・クーダー、スニーキー・ピートらの客演も、カービー・ジョンソンの管弦アレンジも適材適所。ライ・クーダーがばりばりにスライドしまくるハウリン・ウルフのブルース・メドレーとか、後年、その圧倒的な真価に気づきさんざん聞き込んだものだ。ストリングスを交えたアンサンブルが、ちょっと意外ではあったけれど、とっても深い「ブライズ・オヴ・ジーザス」とかも好きだったなぁ。
そんなある意味、バンド始めたてっぽい手探り感も興味深い1枚の拡張エディション。2枚組で。CD1が、ライノといえばこの人…的な名エンジニア、ビル・イングロットらが最新リマスタリングをほどこしたオリジナル・アルバム。CD2がレア音源集だ。ボックスセット『30イヤーボックス!(Hotcakes & Outtakes: 30 Years of Little Feat)』で既発のセッション音源も4曲再収録されているが、オリジナル・アルバム収録曲の未発表別ヴァージョンも8曲。いろいろな試行錯誤が新鮮だ。
ローウェルのもごもご不明瞭な、うなるような歌声と、粘り気と鋭さを併せ持ったブルージーなスライド・ギターはすでに思いきり魅力的。このアルバムを経て、次作『セイリン・シューズ』でいよいよフィートならではのやばいグルーヴがピーク近くまで醸成されて。続いて、最強の6人編成へとアップグレードしながら『ディクシー・チキン』でバンドとしてのワン・アンド・オンリーな個性を炸裂させることになるわけですな。
デラックス・エディションのストリーミングはまだないみたい。






