Disc Review

Feats Don’t Fail Me Now (Deluxe Edition) / Little Feat (Rhino/Warner Records)

アメイジング!(デラックス・エディション)/リトル・フィート

2022年に出た『ウェイティング・フォー・コロンブス:スーパー・デラックス・エディション』、昨年出た『セイリン・シューズ』と『ディキシー・チキン』それぞれのデラックス・エディションに続いて、またまた出ましたリトル・フィートのデラックス・エディションもの。

今回は1974年の『アメイジング!(Feats Don't Fail Me Now)』の発売50周年を記念したCD3枚組デラックス・エディションだ。このアルバムに思い入れのある日本のファンは多いんじゃないかな。ぼくもそう。というのも、これまでも本ブログで何度も書いてきた通り、このアルバムこそが日本で初めて国内盤が出たフィートのオリジナル・アルバムだったから。

もちろん、それ以前にリトル・フィートの名前は日本に暮らすアメリカン・ロック・ファンの間ではそこそこ有名だった。まだまだ情報量が絶対的に少ない時代だったため、何ひとつ具体的な感触をつかめてはいなかったものの、ヴァン・ダイク・パークスやはっぴいえんどのアルバムを通じて名前だけは知っていた。なんだかすごいやつらがいるらしいということくらいは意識していた。

なかなか輸入盤を買うのも敷居の高かったあの時代、渋谷のロック喫茶界隈では、特に3作目のアルバム『ディキシー・チキン』はそれなりに評判になっていて、カルト的な人気を博してはいたものの、まだまだ一般的には名前先行。で、1974年になっていよいよ日本で彼らのアルバムがはじめて国内盤としてこの4作目『アメイジング!』紹介されたわけだ。そんなわけで、この盤ではじめて実際にフィートの音に接したファンも多かったと思う。もちろん、ぼくもそのひとりだ。

でもって、思いきりハマった。オープニングを飾っていたローウェル・ジョージ作の「ロックンロール・ドクター」をはじめ、ビル・ぺイン節炸裂の「オー・アトランタ」、ポール・バレアのクールでファンキーなセンスが満喫できる「スキン・イット・バック」など、ごきげんだった。

2019年にポールさんが亡くなったときに書いた追悼ブログでも触れたけれど、クールさとホットさが交錯する「スキン・イット・バック」のマジカルなグルーヴと、スライドあり(ローウェル)なし(ポール)両方のギターが入り乱れる印象的なリフには心底やられた。

あと、何と言ってもヴァン・ダイク・パークスがプロデュースした「スパニッシュ・ムーン」。こいつもすごかった。重く泥臭いビートと、タワー・オヴ・パワー・ホーン・セクションによる超肉厚なホーンがからむ強力なナンバーだったなぁ。

今にして思えば、だけれど。ローウェル・ジョージの並外れた個性と才能のピークを記録したのが前作にあたる『ディキシー・チキン』だったとすれば、ビル・ペインとポール・バレアがぐっと存在感を強めつつバンドとしての頂点を極めようとしていた瞬間を記録したのが本作『アメイジング!』だったのかも、と。そんな気もする。

と、そんなごきげんなアルバムのデラックス・エディション。今回はCD3枚組のディスク1にオリジナル・アルバムの2024年最新リマスターを。ディスク2にアルバム・セッションからの未発表の別テイク、アウトテイクなどレア音源を。そしてディスク3に1975年2月にパリで行なわれた未発表ライヴ音源を。それぞれ詰め込んだ内容だ。

やっぱディスク2が楽しいです。翌年出る『ザ・ラスト・レコード・アルバム』に収録されることになる「オール・ザット・ユー・ドリーム」とか「ロング・ディスタンス・ラヴ」とか、77年の『タイム・ラヴズ・ア・ヒーロー』に収められることになるインスト「デイ・アット・ザ・ドッグ・レーシズ」の初期ヴァージョンも入っていて。先行公開されたまだホーンなしの「スパニッシュ・ムーン」のグルーヴとか、「ロックンロール・ドクター」の別ヴァージョンとかも超すごいし。

ちなみに、今回お目見えしたいくつかのデモ・ヴァージョンは1974年、ボルチモアの港に停泊する船を改造して作られた伝説の“ブルー・シーズ・スタジオ”で録音されたものらしいのだけれど、この船、1977年に沈没してしまい、セッション・テープもすべて紛失したと思われていたのだとか。それが奇跡的に発見されて収録されたということだけでも、感謝感謝です。

パリでのライヴは当時の最新アルバムだった『アメイジング!』からの曲を中心に、「オン・ユア・ウェイ・ダウン」「ファット・マン・イン・ザ・バスタブ」「ウィリン」とかも交えたごきげんなセットリスト。

ちなみに、ディスク3のライヴなしのLP2枚組ってのも出る。さらに、CD3枚組にもう1枚、1975年1月にロンドンのレインボー・シアターで収録された未発表ライヴを収めた特典CD付きのセットってのもあるみたい。LP2枚組+特典CDってのも。バカ高いけど(笑)。いやー、また今回もいろいろ悩ましい…。

フィートの面々は『アメイジング!』50周年ツアーにも出るそうで。来日も期待したいところです。まじ。よろしく。ほんと。

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