Disc Review

Let the Sunshine In: The Soul City & Bell Albums 1967-1974 / The 5th Dimension (Strawberry/Cherry Red)

レット・ザ・サンシャイン・イン:ザ・ソウル・シティ&ベル・アルバムズ 1967-1974/フィフス・ディメンション

この人たち、わりとナメられがちというか(笑)。

ぼくは大好きなんだけど。大ヒット曲がいっぱいあることとか、洗練されたヴォイシングのコーラスワークとか、ローラ・ニーロ、ジミー・ウェッブ、ジョニー・リヴァース、バート・バカラック&ハル・デヴィッド、ニール・セダカ、ハリー・ニルソンら白人ソングライターの曲を多く取り上げていることとか、いろいろな要素が折り重なって、ポップス・ファンはともあれ、うるさ方系のロック・ファンやソウル・ファンからの評価が微妙なことになっちゃっているのかもしれない。

そういえば何年か前、“もうひとつのウッドストック”と言われている1969年の「ハーレム・カルチュラル・フェスティヴァル」の模様をクエストラブが監督して映画にした『サマー・オブ・ソウル (あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』絡みのトークイベントに出演させてもらったとき、一緒に出ていたピーター・バラカンさんが、「フィフス・ディメンションって黒人グループだったんだね。今回映像を見て初めて知った」とか発言していたなー(笑)。

ぼくは、まあ、世代的にも1969年、日本でも特大ヒットを記録した表題曲に惹かれて『輝く星座(The Age of Aquarius)』ってLPを買ったのが最初で。中学生だったころ。

で、そこには他にもローラ・ニーロ作の「ウェディング・ベル・ブルース」や「ブロウイング・アウェイ」が入っていて、ジミー・ウェッブ作の「ザ・ハイドアウェイ」が入っていて、ニール・セダカ作の「愛の星座(Workin' On a Groovy Thing)」が入っていて、ボブ・ドロー絡みの「天国の風(The Winds of Heaven)」が入っていて、クリームの「サンシャイン・ラヴ(Sunshine of Your Love)」やメリー・ホプキンの「悲しき天使(Those Were the Days)」や、あるいは「レット・イット・ビー・ミー」みたいな直球ヒットの多彩なカヴァーも入っていて。

だいぶ後になってから知って驚いたことだけど。プロデュースがボーンズ・ハウで。バックを固めているのはハル・ブレイン、ジョー・オズボーン、トミー・テデスコ、ラリー・ネクテルら、いわゆるレッキング・クルーの面々。アレンジはボブ・アルシヴァー。コーラス・マニアだったぼくは特にアルシヴァーのコーラス・アレンジにやられて。

なんかポップ・ミュージックの洗練とか、幅広さとか、そういうものをいろいろな形で教えてくれた大切なグループ。それがぼくにとってのフィフス・ディメンションで。それから過去にさかのぼったり、新たに出る新作アルバムをリアルタイムで追いかけたり。

初期の『ビートでジャンプ(Up, Up and Away)』(1967年)や『マジック・ガーデン』(1967年)でのジミー・ウェッブ色にどっぷり浸ったり、『素敵なポートレート(Portrait)』(1970年)でバカラック・ナンバー「悲しみは鐘の音とともに(One less bell to answer)」にとろけたり、『五次元の結晶(Individually & Collectively)』(1972年)でトニー・マコーリー作の「夢の消える夜((Last Night) I Didn't Get to Sleep at All)」にときめいたり、『愛の仲間達(Living Together, Growing Together)』でデニス・ランバート&ブライアン・ポッター作の「アシェス・トゥ・アシェス」にしびれたり…。

楽しくやってきたわけですが。

そんな彼らの結成60周年を記念する6CDボックス。彼らがデビュー以来、ソウル・シティおよびベル・レコードに残したライヴも含むオリジナル・アルバム全10枚の収録曲を全網羅したうえで、フィフス・ディメンションと名乗る前、ザ・ヴァーサタイルズ時代のシングル音源をはじめ、25曲のボーナス音源を追加。まあ、過去のCD化再発の際に何らかの形で世に出たことのあるボーナス曲がほとんどだけど、ブラッド・スウェット&ティアーズでおなじみのキャロル・キング作品「ハイ・デ・ホ」は今回が初お目見えかな。1974年の『ソウル&インスピレーション』のセッションで録音されながらお蔵入りして、なかなか世に出なかったお宝音源。デジタルでは何年か前、流通していたけれど、ついに音盤化されました。

まあ、これも英チェリーレッド系の再発なので。いつものようにストリーミングはないわけですが。でも、ボーナス曲はともあれ、彼らのオリジナル・アルバム群は基本的に各々ストリーミングされているので。よろしければ結成60周年のこのタイミングで再評価などしていただければ、と。

ただし、マリリン・マックー、ビリー・デイヴィス・ジュニア、フローレンス・ラルーらメンバーによる座談会とか、ボーンズ・ハウやジョン・フローレスへのインタビュー、詳細なヒストリー、貴重な写真などを満載したブックレットは現物をゲットしないと、ね。

そういえば、10年近く前。ツイッター(当時)でこの人たちの1967年の小ヒット「ペイパー・カップ」のテレビ出演時の映像をツイートしたら、なんとメンバーのひとり、今年2月に90歳で亡くなったラモン・マクレモアさんご本人から「懐かしいねー」的な返信をいただいたことがあったっけ。しみじみ、うれしかったなー。

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