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Disc Review

Frenchy / Thomas Dutronc (Blue Note France)

フレンチー/トマ・ドゥトロン

フランスの音楽のこととか、詳しいことは何ひとつ知らないハギワラですが。そんな中でふと接したこのアルバム。なんだかとてもいい感じだった。

フランソワーズ・アルディが母親で、ジャック・ドゥトロンが父親。そんな家庭に生まれたトマ・ドゥトロン。ギタリストであり、シンガーでもある彼の、これが5作目だとか。申し訳ないことに、ぼくはまったくノー・マークで。前のアルバム群とかいっさい聞いておらず、本作でのアプローチがこの人の本筋なのか、あるいは変化球なのか、それすらさっぱりわからない状態。

でも、客演しているゲストの顔ぶれに興味を惹かれてなんとなく聞いてみたところ、とても面白くて。ウォーキングしながら繰り返し繰り返し聞き続けてしまった。なもんで、わからないなりにぼんやり紹介しておくことにしました。変なこと言ってるかもしれないけれど、その筋に詳しい方、笑って見逃してやってください。

『フレンチー』というアルバム・タイトルからも想像できる通り、トマさんの本国、フランスの音楽にわりとまっすぐ対峙した1枚。シャンソンとか、ほぼ門外漢という感じのぼくのような者でも知っている新旧有名曲をジャジーに、メロウに、カヴァーしたトラックがずらり。今回あんまりギターは弾いてないみたい。

オープニングを飾っているのは、イヴ・モンタンでおなじみ「セ・シ・ボン」だ。なんとイギー・ポップとダイアナ・クラールという、恐ろしく歪んだ取り合わせのゲストを招いて。イギーのやばさ爆裂の低音と、ダイアナ姐さんのハスキーでアンニュイなアルト・ヴォーカルが、トマ・ドゥトロンの、どことなくチェット・ベイカーあたりを想起させる、ちょいへなちょこな歌声と絡み合い、奇妙な三つ巴ワールド(笑)を現出させる。

2曲目、エディット・ピアフの「バラ色の人生(La Vie en Rose)」には、なんとZ.Z.トップのビリー・ギボンズが乱入。ごきげんにレイジーなブルース・ロック系のオブリを入れたりして、不思議な異化効果を生み出している。続いて、ブロッサム・ディアリーでおなじみ「プリュ・ジュ・タンブラス」をちょいスピードアップした感じでスウィンギーに聞かせると、次はぐっと新しめ。フランスのエレクトロニカ・ユニット、エールの「プレイグラウンド・ラヴ」をフランスを本拠に活動する韓国生まれのジャズ・シンガー、ユン・スン・ナと。

と思ったら、次はまたお古いところで、日本ではザ・ピーナッツでおなじみ、シドニー・ベシェの「可愛い花(Petite Fleur)」。アコーディオンを交え、ほのかにラテン・フレイヴァーを効かせつつ。さらに、これまた日本でもおなじみ、フランシス・レイが作曲した映画『男と女』の主題歌(Un Homme et Une Femme)をステイシー・ケントとダバダバきめて。「ラ・メール」をボビー・ダーリンがヒットさせた「ビヨンド・ザ・シー」の英語詞を交えつつライトにこなして。

で、また近年もの。ダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」へ。スウィンギーにハネてるアレンジがいかしてます。続いては、敬愛するジャンゴ・ラインハルトの代表曲が2曲。まずは「マイナー・スウィング」。ステファン・グラッペリのヴァイオリンのフレーズをエレクトリック・ピアノに置き換えて、さらにバンジョーみたいな楽器も使っていきいき聞かせる。ふたつめの「オール・フォー・ユー」はジャンゴ必殺の「ヌアージュ」にトニー・ベネットがあとから英語詞をつけて歌っていたもの。

次がぼくたち世代にはスコット・ウォーカーのヒット曲としておなじみ、ジャック・ブレルの「行かないで(If You Go Away)」。もちろんロッド・マッケンが訳した英語詞と原詞とのチャンポンで。『アメリカン・アイドル』出身のヘイリー・ラインハートとともに切なくデュエットする。そのあと「枯葉(Autumn Leaves)」やって、シャンソンの「いつものように(Comme D'habitude)」にポール・アンカが勝手に全然関係ない英語詞をつけちゃった「マイ・ウェイ」をやって。

そして、ラスト。やはりぼくたちアメリカ音楽好きにはトニー・ベネットの「ザ・グッド・ライフ」としておなじみの「美しい人生(La belle vie)」で、以前、本ブログでも紹介したことがあるジェフ・ゴールドブラムと共演して、アルバムは幕。

おなじみのメロディ満載でほんのり楽しい1枚。時間見つけて、これまでのアルバム群もストリーミングで聞いてみようっと。

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