
ライフタイム/ハーモニー・ティヴィダード
元ガールプール。2022年に解散してから、“ハーモニー”名義でリリースしたアルバム『ゴシップ』が、なんというか、こう、ぐっとダンスフロア志向みたいな? そういう要素を強めてたりしていて。あ、そういう感じ? と、一瞬たじろいだりしたものですが。
去年あたりからリリースしてきた何作かのシングルが、なんとなくガールプール初期にも通じる、カリフォルニア特有の夢幻的な雰囲気が舞い戻ってきていて。それらシングル音源も含むハーモニー・ティヴィダード名義による本アルバムは、なんとも美しく内省的な質感をたたえていて。ぐっときました。
アルバムのオープニングを飾っているのは「マルホランド・ドライヴ」って曲で。2001年のデヴィッド・リンチ監督作品と同名なのだけれど。なるほど、あの映画の感じ。行き場のない現実逃避感というか。満たされない夢と背中合わせの苦悩というか。痛みというか。苦いファンタジー感に貫かれていて。ぐっと引き込まれます。
続く「ベスト・ドレスド」って曲も、ある種の苦悩から解放されることを願っているような感じの曲で。でも、それらがダークにではなく、淡々としたフォーク・ポップっぽい音像の下で描かれる。歌詞と音像とのイマジネイティヴなミスマッチが魅力的。
ブロンドシェルやチェリー・グレイザーを手がけていることでおなじみ、イヴ・ロスマンがエグゼクティブ・プロデューサー。いい音世界。昨日、やけに湿気がむしむしと気持ち悪い天気の中、このアルバムのパステルっぽい音を聞きながらお散歩していて、なんだか少しだけ気分が救われたような…。
ガールプールの相方、エイヴリー・タッカーがソロ作でバンド志向を強めている感じなのに対して、ハーモニーさんのこの内省的かつドリーミーな、ベッドルーム系シンガー・ソングライター方面への回帰はちょっとうれしいかも。なにやらガールプール解散前から書きためていた曲とかも含まれているようで。やっぱりこっち方面の人だったんだなと再確認したりも。
フィジカルは今んとこ、まだっぽい感じ。

