Disc Review

Frog for Sale / Frog (Audio Antihero)

フロッグ・フォー・セイル/フロッグ

まずはいくつかお知らせ。

今週の土曜日、川崎のチネチッタで映画『ジェイムズ・ブッカー/愛すべきピアノ・ジャンキー』の上映後、ピーター・バラカンさんとトークショーやります。17:30の回の上映後です。あちこちの映画館で上映があって、ピーターさんが精力的にいろいろな方とトークショーやっていらっしゃいますが。この川崎の回は残念ながら、ぼくの力不足ゆえ、チケット売れ行きの伸びが今いち芳しくないそうで(笑)。申し訳ない。

でも、ピーターさんの本の即売&サイン会もありますし、ぼくもちょこっと大滝さん本の即売およびサインとか、させていただきますし。川崎に足を延ばしやすい方、よろしければぜひいらしてください。映画もむちゃくちゃ面白いというか、ドスが効いてるというか、発見が多いというか、とんでもなく刺激に満ちた仕上がり。この機会にぜひ。ぼくも楽しみにしてます。

で、こちらは9月の話ですが。9月5日、いつも早稲田大学エクステンションセンターでやっている『英米ロック史』というオープンカレッジ講座の番外編として、『ルーツ・オブ・大滝詠一、大滝詠一ができるまで』ってのをやります。

途中休憩をはさんで、13:10~16:35、90分講座×2コマという形です。拙著『幸せな結末 大滝詠一ができるまで』をテキストに、そこに記録したインタビューで、生前の大滝さんが自ら語ってくれたコニー・フランシス、エルヴィス・プレスリー、ナンシー・シナトラ、三橋美智也、クレイジーキャッツ、ビートルズ、バッファロー・スプリングフィールドなど多彩なルーツ音楽を追体験します。インタビュー・テープに残っている大滝さんの生声などもちょこっとご披露しようかなと思ったりも…。

大滝さんのルーツを通して英米ポップ音楽史を再検証する特別講座。よろしければ以下のページでチェックしてみてください。

あと、いつものCRTもぜひチェックしてください。6月23日、新宿のRock Cafe LOFTで。『プロテスト・ソングの歴史 《ウディ・ガスリーからブルース・スプリングスティーンまで》』という、ちょっとだけ真面目なCRTです。これも以下のホームページなどをご参照のうえ、ぜひぜひご参加ください。

と、もろもろのお知らせを終えたところで本日のピック・アルバム。10年くらい前から“アメリカン・インディ・シーンの秘密兵器”とか(笑)言われてきたフロッグ。8作目のアルバム、出ました。

ぼくがこの人たちのこと知ったのは確か2015年。「ジュディ・ガーランド」って曲に興味を持って初めて聞いたんだっけ。そのころはダニエル・ベイトマンとトーマス・ホワイトのデュオだったけど、やがてトーマスが脱けてダニエルのソロ・プロジェクトになって。その辺で一時休業期間があって。しばらくしたらダニエルの弟、スティーヴが参加してふたたびデュオになって。さらにトーマスも、以前はドラムだったけど今度はベースとして戻ってきて。

というわけで、今はトリオ編成。去年の傑作『1000ヴァリエーションズ・オン・ザ・セイム・ソング』に続く新作『フロッグ・フォー・セイル』が出た、と。

今回もダニエルならではのシニカルな歌詞世界と一筋縄にはいかないメロディ感覚に貫かれた仕上がりで。シリアスさとユーモラスさと、楽しさと哀愁と、過去と未来と、いろいろなアンビバレンスを融合。ポール・マッカートニー、エミット・ローズ、エリオット・スミス、ロイ・オービソンなど、多彩な要素がぐるぐるに渦巻いていて。

シングルで先行配信されていた「ジュ・ヌ・セ・パ」って曲にはハリー・ニルソンの「ワン」の歌詞がなんとも巧みに引用されていたり。「マックス・フォン・サイド・アイ」って曲には“孤独であることは絶対に許されない罪なのかな/だったらぼくが“すぐに来て”と頼んでもそれを無視してくれる分別が君にあるといいな”みたいな、まあ、実はどう訳していいかよくわからないフレーズが出てきたり。すごく耳を惹きます。

ビーチ・ボーイズの『フレンズ』に入っていてもよさそうな「ベスト・バイ」って曲もお気に入り。語り交じりの「ロイス・レイン」もいいし。跳ねるサンシャイン・ポップ・ビートが切ない「ダーク・アウト」にも胸しめつけられます。

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