
デイズ・オヴ・アンレスト/マーゴ・プライス
アメリカも日本も、まさかこんな時代がやってくるとは思いもしなかったというか。まあ、人それぞれいろんな考え方があるので、今楽しくて仕方ないって人もいて。それもけっこうな数いるからこそこんなことになってるんだろうけど。ぼくは個人的に違和感しかなく。
右とか左とか、保守とかリベラルとか、その本来的な意味合いすらすっかり様変わりしてしまったみたいで。議論の余地すらないみたいな世の中。どうなっていくのかなぁ…。
それだけに、やっぱりブルース・スプリングスティーンとか、ブランディ・カーライルとか、ニール・ヤングとか、ベット・ミドラーとか、ルシンダ・ウィリアムズとか、そういう人たちの動きには力をもらえるというか。そんな思いに奮い立たせてもらいつつ、先日もCRTでプロテスト・ソングを特集させてもらったり。
そんな中、マーゴ・プライスの新作アルバム『デイズ・オブ・アンレスト』が事前の予告もほとんどなし、サプライズのように7月4日、250回目のアメリカ独立記念日にリリースされました。本人はアルバムではなく“ミックス・テープ”と呼んでいるようだけど。“不安な日々”というタイトルからも想像できる通り、これが真っ向からのプロテスト・ソング集で。
プロデュースはメンフィスのサン・スタジオで制作されたデビュー作『ミッドウェスト・ファーマーズ・ドーター』からの付き合いになるマット・ロス・スパング。
自作の「サン・マルコス」って曲をテーマ代わりに冒頭と、真ん中と、ラストに配して。それらに挟まれる形で、全米農場労働者組合のアンセムとして、あるいはカトリックのクルシージョ運動でよく歌われる曲としておなじみのスペイン民謡「デ・コローレス」とか、ウディ・ガスリーの「ディポーティー」(ジョーン・バエズが客演)とか、オースティンのカントリー系シンガー・ソングライター、ブレイズ・フォーリーの「オーヴァル・ルーム」とか、チャーリー・ダニエルズ・バンドの「ロング・ヘアード・カントリー・ガール」(ビリー・スワンが客演)とか、ボブ・ディランの「マギーズ・ファーム」とか…。刑務所改革、マリファナ合法化、移民問題、農業、労働者の権利などを巡る多彩な“抗議”の曲のカヴァーが並んでいる。
オリジナル曲はもうひとつ、「キャント・スタンド・スティル」ってのが入っていて。これは女性の人権問題というか、自立に関する内容で。ソロ・デビュー前、ナッシュヴィルでバッファロー・クローヴァーってバンドをやっていた時期に作られたものだとか。てことは、もうだいぶ前の社会状況を反映したものなわけだけれど、時代は変わっても、根本は変わってないってことなのかも。
「オーヴァル・ルーム」にしても、これ、ブレイズ・フォーリーがレーガン大統領時代に政権の腐敗を痛烈に笑ったものにもかかわらず、ほぼトランプに対する曲みたいに機能してるし。「ディポーティー」にしてもマーゴはディランとバエズのデュエットで聞いて好きになって以来、もう20年近く歌い続けてきたらしいし。
声は上げ続けていかないとね。アルバムの売上の一部はフローレンス移民・難民権利プロジェクトに寄付されるそうです。といっても、まだ今のところフィジカル、見かけていないけど。まずはダウンロード販売で…ってことかな。アナログ、待ってます。

