
クリームの素晴らしき世界(スーパー・デラックス・5CDエディション)/クリーム
エリック・クラプトン絡みのアルバムとして、ぼくが初めて買ったのがこれだった。中学2年生になっていたか、1年の終わりくらいだったか。たぶん1969年の春くらい。
ラジオで「ホワイト・ルーム」を聞いて。大仰だったり、ファンキーだったり、流麗だったり、曲想がくるくる変わる感じになんだかハマって。ドコドコやかましく鳴り渡るジンジャー・ベイカーのドラムとか、グルーヴするジャック・ブルースのベースとか、エフェクトっぽいクラプトンのギターとかも印象的で。
それで、LP買いに行ったんだよなぁ。日本グラモフォンの“アート・ロック・シリーズ”から出てた『クリームの素晴らしき世界』。個人的にはヴァニラ・ファッジに続く“アート・ロック”ものでした(笑)。
ご存じ、クリーム、3作目のオリジナル・アルバム。スタジオ録音された盤と、ライヴ録音された盤とを組み合わせた2枚組で。今では初めてプラチナディスクを獲得した2枚組アルバムとしても名高いみたいだけど。あまり詳しく把握していないものの、『クリームの素晴らしき世界』って日本では最初2枚組では出ていなかったんじゃなかったっけ? スタジオ盤、ライヴ盤それぞれに泣き別れした1枚もので出ていて。
スタジオ盤のほうのジャケットが銀色、ライヴ盤のほうが金色。ぼくのお小遣いじゃ2枚いっぺんに買えなかったので、最初はお目当ての「ホワイト・ルーム」が入っているスタジオ盤のほうを買って。サイケだったり、ポップだったりするジャック・ブルース作品、ジャジーだったり、現代音楽ふうだったりするジンジャー・ベイカー作品の狭間に、エリック・クラプトンの青きブルース・ギターが暴れるハウリン・ウルフとかアルバート・キングとかのカヴァーがぶちこまれた、なんとも多彩な世界観を、まあ、まだ中学生だったから、なんだかよくわからないなりにじわじわ楽しんだものです。
プロデュースしていたフェリックス・パパラルディって名前を初めて知ったのもこのアルバムだったかも。懐かしい。
で、ずいぶんと経ってから「クロスロード」とか「スプーンフル」とかが入ったライヴ盤のほうも買って。なもんで、そのまんまずっとスタジオ盤、ライヴ盤、それぞれ別アルバムみたいに受け止めていた感じ。あんまり2枚組のイメージがないのだけれど。
そんな『クリームの素晴らしき世界』のデラックス・エディション。CD5枚組で。ディスク1が、かつてぼくが初めて買った、帯に“スタジオ録音”って書いてあったほうの盤。
前半のほうにオリジナル・ステレオ・ヴァージョンが全9曲入っていて。その後に“フェイズ・コレクテッド・ヴァージョン”っていうので同じ9曲が入っている。なんでもこのアルバムは、モノラル再生装置でかけたときのことを考慮に入れた“Haeco-CSG”というステレオ録音システムを使っていたそうで。でも、それ使うとステレオで再生したとき、なんとセンターの音像がボケちゃうらしく。なんだよ、それ…って感じですが(笑)。それを最新の技術を使って修正したヴァージョンが後半9曲だとのこと。
ディスク2は、パパラルディが個人所有していた数百本のオープン・リール・テープの中に含まれていたという未発表の別ミックス。このテープ、パパラルディが引っ越しするときに前のおうちに置き忘れてしまっていたもので。それを親切な大家さんが保管してくれていたことで世に出ることになったらしい。ステレオ、モノ、9曲ずつ。
ディスク3は、オリジナルの2枚組のうちライヴ盤のほう。ぼくが買ったLPの帯には堂々と“フィルモア実況録音”って謳われていたけれど。ご承知の通り、フィルモア録音は1曲だけで、残る3曲はウィンターランド録音。こちらではスタジオ盤とは打って変わって火花散るインプロヴィゼーション〜インター・プレイの雨アラレだ。
ディスク4は1968年3月に行われた一連のコンサートで演奏された8曲。うち7トラックは1970年の『ライヴ・クリーム』や1972年の『同Vol.2』に収録ずみだけれど、ウィンターランドで録音された「間違いそうだ(We’re Going Wrong)」は初登場音源。で、ディスク5はレア音源集。シングル・エディット・ヴァージョンとかライヴとか既発音源もあるけれど、全15トラック中9トラックが未発表もの。初期ヴァージョン、ラフ・ミックスなどが満載されている。
まあ、このアルバムが出たころ、クリームはもう解散を発表していたわけだけれど。プロデューサーのパパラルディも含めて、よくもまあ、この強烈な4つの個性がひとつところにいたものだなぁ、と。改めて思い知らされるばかりです。時代のなせるわざってことか。すごい時代だった。

