Disc Review

Solid Ground / The Grease Traps (Record Kicks)

ソリッド・グラウンド/ザ・グリース・トラップス

米カリフォルニア州オークランドを本拠に活動するオールドスクールな8人組バンド、ザ・グリース・トラップス。

古き良き美学に貫かれたコアなソウル〜ファンクの7インチ45回転ドーナツ盤を次々リリースし続けていることでおなじみ、米オハイオ州の超マニアックなレコード・レーベル“コールマイン”から、まるでミーターズみたいなオルガン・インスト「ストリート・スウィーパー」をリリースして、一部で熱狂的に迎えられたのが2012年だったか2013年だったか…。

あのシングルのときは4人組だったと思うけれど。やがてホーン・セクションとかも増強して、リード・シンガーも加えて、8人組へとアップグレード。ついに初フル・アルバムを制作してくれました。コールマインからではなく、イタリアのミラノに本拠を置くインディR&Bレーベル“レコード・キックス”から。

セッション・キーボード奏者として1960年代末から多くの名盤の制作に関わってきた、かのマイク・フィニガンの息子さんで、現在はサンフランシスコのファンク・バンド、モノフォニックスのヴォーカルもつとめるケリー・フィニガンのスタジオ“トランジスター・サウンド”と、地元オークランドの“フィフティ・フィルス・スタジオ”でレコーディング。同エリアのファンク・バンド、オルゴーンのプロデューサーであるセルジオ・リオスと、バンドの中心メンバーであるケヴィン・オデアがミックス。レーベル自体はレコード・キックスながら、コールマイン人脈総出でバックアップしている感じだ。

モノフォニックスのホーン・セクションや、サリー・グリーンやブライアン・ダイアーらベイエリアで活躍するヴォーカリストたち、さらにはヴィオラ・プレイヤーのアリッサ・ベルらも客演しているとのこと。

アルバム・ジャケットにも映っているTASCAM 388 STUDIO8(8トラックのアナログ・オープン・リール・マルチ・トラック・レコーダー)を使って基本一発録り、みたいな。超アナログなアプローチで制作されたらしい。全11曲中8曲がオリジナル。ごりごりのファンクあり、ファズがうなるサイケデリックものあり、スウィートなロイライダー・ソウルあり。曲によっては根強くはびこる差別や偏見に対する強いメッセージを表明したニュー・ソウル時代っぽい歌詞もあり。

残る3曲がカヴァーで、これがまたひどくマニアック。ザ・ブラック・オン・ホワイト・アフェアの「ボールド・ソウル・シスター、ボールド・ソウル・ブラザー」、ザ・マイティ・ハニバルの「ゲット・イン・ザ・グルーヴ」、メイズ・フィーチャリング・フランキー・ビヴァリーの「カラー・ブラインド」という1960〜1970年代のレアものを取り上げている。さすがだ。

アナログLP(Amazon / Tower)ももちろんあり。国内盤CD(Amazon / Tower)も来月には出るそうです。

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