Disc Review

The Winding Way / The Teskey Brothers (Ivy League/Glassnote)

ザ・ワインディング・ウェイ/ザ・テスキー・ブラザーズ

ヴァン・モリソン、スティーヴ・ウィンウッド、ロッド・スチュアートらを彷彿させるブルージーな歌声が魅力の兄ジョシュと、抑制の効いたソウルフルなギター・プレイを聞かせる弟サムのテスキー兄弟によるオーストラリア最強ブルー・アイド・ソウル・ユニット、ザ・テスキー・ブラザーズ。

2008年に結成。2017年に本格アルバム・デビューを飾って、いきなり地元でブレイク。以降、着実にアルバム・リリースを重ねつつごきげんな活動を続けている。本ブログでも2019年のセカンド・アルバム『ラン・ホーム・スロウ』とか、2020年の『ライヴ・アット・ザ・フォーラム』とか取り上げて盛り上がりましたが。

新作、出ました。2021年にオーケストラとの共演によるさらなるライヴ盤『ライヴ・アット・ヘイマー・ホール』を挟んでのリリース。ジョシュもサム、それぞれ2020年と2021年にソロ・アルバムを出しているけれど、バンド名義のスタジオ・フル・アルバムとしては『ラン・ホーム・スロウ』に続く4年ぶりの3作目ということになる。もともとテスキーズはジョシュとサムの兄弟にリアム・ゴフ(ドラム)とブレンダン・ラヴ(ベース)が加わった4人組だったけれど、去年の暮れ、リアムとブレンダンの脱退が発表され、兄弟のデュオ編成に。そうなってから初のリリースだ。

今回は、ニュージャージー出身ながら近年はフルームとかチェット・フェイカーとかオーストラリアのアーティストたちとの仕事で高く評価されているエンジニア/プロデューサー、エリック・Jとタッグ。ちょっと畑違いかなと思うけれど、放っておくと思いきりレトロな方向に振り切りがちな兄弟をいい感じに今の時代とコネクトさせる役割を果たしてくれているのかも。なんでも、元を正せばこの人、アリフ・マーディンの弟子筋にあたるんだそうで、そういう意味では的確な人選っぽい。

控えめなホーン・セクションなども伴いつつ熱く、しかし切なく綴られる失恋ソング「アイム・リーヴィング」で幕開け。ときめきに満ちていた日々を思い返しながら、“でも今、俺の心はバラとイバラの間で引き裂かれてしまった”と訴える「オーシャンズ・オヴ・エモーション」を経て、流麗なストリングスも胸にしみるハチロク系のスロー「テイク・マイ・ハート」へ…というオープニングから、もうやばい。テスキーズの魅力、いきなり全開だ。

アルバム後半、かなりドラマチックに展開する大作も含まれてはいるのだけれど、個人的にはそういうやつよりも、ぐっとコンパクトに兄弟のソウル〜ブルース感覚が凝縮しているタイプの曲のほうに熱くなる。

「オーシャンズ・オヴ・エモーション」「テイク・マイ・ハート」「ロンドン・ブリッジ」と3作連なる連作ビデオクリップも制作されるなど、けっこう力入ってます。ネットのCDショップとかだと発売日とか値段とかずいぶんとバラバラで、どうなってるのかなと思うのだけれど。何はともあれサブスクのストリーミングはされているので、まずはそれで思いきり楽しみましょう。でもって、フィジカルはアナログLPをゲットすべきかな。

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