Disc Review

Dragnet / NRBQ (Omnivore Recordings)

ドラグネット/NRBQ

久々の新作スタジオ・フル・アルバムだ。

我らがNRBQは2004年、アルバム・デビュー35周年を祝して、スティーヴ・ファーガソン、フランク・ガッドラー、トム・ステイリー、ケン・シーハン、アル・アンダーソンら、すでに脱退してしまっていた元メンバーも含む豪華な顔ぶれが勢揃いするコンサートをやってめでたく盛り上がったりしていたものの。同年、中心メンバーのテリー・アダムスがステージ4の咽喉癌に冒されていることが判明し、バンド活動は休止。

ご存じの通り、やがてアダムスは見事に病を克服しシーンに復帰してくれたのだけれど。そのころすでに他のメンバーはそれぞれの道を歩んでいて。ということで、アダムスもソロで、あるいはザ・テリー・アダムズ・ロックンロール・カルテットなる新バンドを率いて活動を継続。そして2011年、新たなメンバーを集めて心機一転、新生NRBQをリスタートさせたのだった。

以降、NRBQ名義では『キープ・ジス・ラヴ・ゴーイン』(2011年)、『ブラス・タックス』(2014年)、結成50周年記念ベスト『ハイ・ヌーン〜ハイライツ&レアリティーズ・フロム・50イヤーズ』(2016年)、5曲入りEP『ハッピー・トーク』(2017年)、シングル『エイプリル・シャワーズ』(2018年)、ライヴ『ターン・オン、チューン・イン』(2019年)、レア・コレクション『イン・フリークエンシーズ』(2020年)など、着実なペースでリリースを続けてきたのだけれど。

とはいうものの、新曲中心のスタジオ・フル・アルバムということになると、本作『ドラグネット』は『ブラス・タックス』以来、7年ぶりの1作ということになる。まじ、久々です。うれしいです。

懐かしのラジオ/テレビ・ドラマ『ドラグネット』のテーマのQ流カヴァーの他、10曲のオリジナル曲を収めた全11曲。ラストに収められている「サンフラワー」は、テリー・アダムスがビル・フリゼールとともに音楽を担当した2018年の映画『チェンジ・イン・ジ・エアー』のための楽曲だ。どれもひと癖あって、どこか捻れていて、でもひょうひょうとしていて、確実にロックンロールしていて…。

現在のQのラインアップは、アダムズ(キーボード)の他、シカゴ本拠の5人組、ザ・フラット・ファイヴのメンバーでもあるスコット・リーゴン(2011年加入、ギター)とケイシー・マクダナウ(2012年加入、ベース)、そしてジョン・ペリン(2015年加入、ドラム)という顔ぶれ。結成当時からのオリジナル・メンバーは先述した通り、もうテリー・アダムスひとりなわけだけれど。でも、以前、本ブログで『ターン・オン、チューン・イン』を紹介したときにも書いたことを繰り返させてもらうと、“強靱な胃袋で何でもかんでも呑み込んでしまう飄々とした柔軟さと、かといって意に反することと楽しくないことは絶対にやらない無頼な頑固さとを併せ持つユニークな姿勢”は不変です。

トワンギーな「ホエアズ・マイ・ペブル?」とか、哀愁シャッフル「ユー・キャント・チェンジ・ピープル」とか、胸きゅんメロの「ムーン・アンド・アザー・シングズ」とか、ジャジーな「ザット・メイクス・ミー・ア・フール」とか、超いかれ気味な「ファイヴ・モア・マイルズ」とか、もうみんな最高! もちろんテリー・アダムスが曲作りの中心。オリジナル曲のうち半数はアダムス作品だ。ケイシー・マクダナウとジョン・ペリンが1曲ずつ。で、スコット・リーゴンがテリー・アダムスとの共作ひとつを含む3曲。これがどれもいい曲で。新たなジョーイ・スパンピナート的な? 

やっぱかっこいいわ、Q。

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