Disc Review

M for Empathy / Lomelda (Double Double Whammy)

2019.03.14

MforE

M・フォー・エンパシー/ロメルダ

テキサス州シルスビー出身のシンガー・ソングライター、ハンナ・リードのプロジェクト、ロメルダの3作目…でいいのかな。アルバムと言うべきか、EPと言うべきか。

2015年のファースト・フル・アルバム『フォーエヴァー』はギターの弾き語りが基調。曲によってクラリネットが加わったりしながら、なんとも沈静した音世界を構築していた。前作、2017年の『Thx』では弟のトミーを中心に、バンド・サウンドでバックアップ。時にはけっこうサイケでラウドな展開を見せたりも。新たな地平へと足を踏み出した感、なきにしもあらずだったのだが。

今回の『M・フォー・エムパシー』では再びギター、あるいはピアノ基調の弾き語り盤へ。超アナログなシンセとかがちょびっとだけ絡む程度。ファーストに立ち返った感じではあるのだけれど、ただ、ここで冒頭の疑問へ。アルバムと言うべきか、EPと言うべきか…。

ファーストのほうが1曲だいたい平均4〜5分はあったのに、今回は1曲だいたい1分半。収録されている全11曲聞いても16分くらい。それだけでもユニークというか。余計な要素は何ひとついらない、と。私がメロディに乗せて綴りたいことはこれだけ…という、あまりにもまっすぐな佇まいに、少したじろぎつつも、じわじわ胸が震える。たとえば、「バスト」って曲とか。“あなたに言うこと、たくさん考えた。あなたに。あなたに。でも、何だったっけ。何だったっけ。何だったっけ。あなたに…”と、それだけしか歌っていないんだけど。聞き終えたあと心に残る憂いに満ちた情感のようなものは、まったく何の物足りなさもないというか。

こっちのイマジネーションに丸投げしてくる感じ。1曲1曲は思いきり短いのに、全曲、やばいです。

今回もトミーくんが関わっていて。弾き語りならではの音世界に、さらなる奥行きを与えている。でも、何と言っても聞く者の耳をとらえて離さないのはハンナ・リードさんのハスキーで味わい深い歌声だ。一瞬、すべてを拒絶しているかのようにすら思える、あまりにも淡々とした歌声ではあるのだけれど、一歩こちらが踏み込んでその歌声に身も心も預けてしまうと、とんでもなく切なく奥深い世界にずっぽりハマりこめる。

おすすめです。クセになります。

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