Disc Review

Beware of the Dogs / Stella Donnelly (Secretly Canadian)

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今年のフジロックへの参加も決定したオーストラリアのシンガー・ソングライター、ステラ・ドネリー。2017年、“レイプ被害者がなぜ自分を責めなければいけないの?”とか“男の子ってそういうものだ…なんて、そんなことですますの、おかしくない?”というメッセージを、ジェントルなギター弾き語りで、静かに、しかし確かな意志とともに歌い放ったシングル「ボーイズ・ウィル・ビー・ボーイズ」でデビュー。これがMeTooムーヴメントの盛り上がりとともに話題を呼んで。

その曲を含むEP『スラッシュ・メタル』(といっても、綴りは“Thrush Metal”。Thrashではないところがこの人っぽい)もけっこう各所で好評を博して、米英でもツアーを敢行。で、いよいよ2018年夏から地元オーストラリアでファースト・フル・アルバムの制作を開始した、と。そして完成したのが本作『ビウェア・オヴ・ザ・ドッグズ』だ。オーストラリアの売れっ子プロデューサー、ディーン・トゥザのもと、キュートな風貌とシニカルな観察眼を併せ持つ独特の個性をのびのび発揮している。

どの収録曲も基本的な在り方は一緒で。アコースティックを基調に必要最低限のバッキングをほどこした穏やかな音世界に乗せて、今の社会に蔓延する人種差別や、性差別や、偏見や、政治の歪みや…そうしたものに対する思いを淡々とした歌声で、しかしストレートに綴ってみせる。

語の選び方がけっこうぶっちゃけていて。セクハラ不倫オヤジに対して毅然と逆襲してみせる曲では“あんたのチンポがなんぼのもんじゃい”的なフレーズが飛び出したり。かと思えば、“彼氏のこと思ってヴァイブレーターでひとり…”みたいなことを軽〜く歌ってのける曲があったり。テーマの据え方が独特というか。

ほんわかした表層の空気感とは裏腹に、けっこう過激かつ骨太なクリエイターさんって感じ。奔放な佇まいと鋭い眼差しが、なんだか気になります。

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