Disc Review

I'm on My Way / Georgina Peach & the Savoys (El Toro)

投稿日:2019.04.02 更新日:

GeorginaP

アイム・オン・マイ・ウェイ/ジョージナ・ピーチ&ザ・サヴォイズ

どこまで本当の話なんだか、よくわからないけど。

去年の初頭、とあるライヴ・クラブでのギグを目前に、ザ・サヴォイズの面々は少し気落ちした様子で店内の椅子に腰を下ろしていた。というのも、その夜、彼らと一緒に出演するはずだったリード・シンガーと直前に揉め事が起こり、歌い手がいなくなってしまっていたのだ。そんな彼らに、クラブのオーナーが声をかけた。

「今、君たちにビールを注いでくれている店の女の子、いい声してるぜ。店でBGMをかけていると、ずっと一緒に歌ってるんだ。今夜、彼女に歌わせてみたらどうだ?」

その夜、ザ・サヴォイズとともにステージに上がったその女の子、シェリ“ジョージナ・ピーチ”アドーが、エタ・ジェイムズの名唱でおなじみ、「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」を歌った瞬間、バンドの面々も、クラブにいた観客たちもぶっとんだ。バンドは彼女こそ待ち望んでいた存在だということに気づいた。

こうして新たなラインアップが完成。ジョージナ・ピーチ&ザ・サヴォイズが誕生し、主にヨーロッパをツアーしながら知名度を上げ、やがて本デビュー・アルバム『アイム・オン・マイ・ウェイ』が制作されることになった、と。

繰り返しになるけれど、どこまで本当なのやら…。

でも、いいのだ。話は面白いほうがいい。てことで、本作。オリジナル曲はいっさいなし。これはこれでいさぎよし。ごきげんなR&Bカヴァー・アルバムに仕上がっている。ライヴ・クラブで人気というピンポイント的な感じがよくわかる選曲に胸が躍る。

収録曲の素性を順番にメモしておくと。1曲目の「Palm of Your Hand」はドリー・ライオンが1962年にアポロ・レコードに残したレアな名曲。2曲目「Early Times」はデニス・ビンダー&ヒズ・オーケストラ、1954年のR&B。アルバム・タイトル曲「I’m on My Way」は、歌詞はちょっと違うみたいだけど、マヘリア・ジャクソンも歌っていたマイナー調のゴスペル。4曲目「Perfidia」はベンチャーズのレパートリーとしてもおなじみ、メキシコのマリンバ奏者アルベルト・ドミンゲスが1930年代に作ったラテンの名曲。5曲目「I’d Rather Go Blind」はバンドが誕生するきっかけとなったエタ・ジェイムズ、1967年のR&Bバラード。6曲目「Walking the Dog」はおなじみルーファス・トーマス、1963年のダンス・ノヴェルティR&B。

ここで曲順的には折り返し。7曲目「If You Don’t Think」はジェイムズ・ブラウンがプロデュースしたアナ・キング、1964年のダンスR&B。8曲目「I Can’t Help Myself」はフォー・トップスのモータウン・ヒット。9曲目「I Know (You Don't Love Me No More)」はバーバラ・ジョージ、1962年のポップR&Bヒット。10曲目「Honey Hush」はビッグ・ジョー・ターナー、1953年のジャンプR&B。11曲目「God Trying to Get Your Attention」はケブ・モが1998年のアルバム『スロー・ダウン』で聞かせていたゴスペル。で、ラスト「Money」はこれまたおなじみ、バレット・ストロングによるおなじみ初期モータウン・ヒット。

有名どころからオブスキュアなものまで、選曲センス最高! ぶっちゃけた感じのジョージナさんの歌声もごきげん。演奏もまずまず。随所にニューオーリンズっぽいビートが織り込まれる感じもいい。ライヴ見たいな、ぜひ。

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