Disc Review

The Singles Collection / Bay City Rollers (Cherry Red)

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シングル・コレクション/ベイ・シティ・ローラーズ

充実した再発コンピを多く編纂している英チェリー・レッド・レコードから、ベイ・シティ・ローラーズのCD3枚組アンソロジーが出た。

1971年6月リリースの「朝まで踊ろう (Keep On Dancing)」から、1981年7月、ザ・ローラーズ名義でリリースされた「ノー・ダウト・アバウト・イット」まで、UKのシングル・ディスコグラフィを総まくりしつつ、そこにUKでは未シングル化ながらUSではシングル・カットされてヒットした「ロックン・ロール・ラヴレター」も加えた全シングルのAB面を発売順に並べた全47曲。AB面全収録なのに奇数なのは、77年のシングル「夢の中の恋 (You Made Me Believe In Magic)」のみB面に2曲収められていたためだ。

実際のところ、ローラーズに関してはメンバーが作ったアルバム曲などですぐれた作品があったりもするので、全体像をつかむためにはそうした隠れた名曲(『青春のアイドル』に入っていた「アイム・ア・フール (Maybe I’m a Fool to Love You)」とか、もう今でも大好き)にまで目配りしてほしかったなと感じたり、日本も含め各国独自のシングル曲も少なくないので、そういうのも入っていればなぁと思ったりもするのだけれど。さすがにそこまで手を伸ばしていたらわやくちゃなボックスセットになってしまいそう。基本的にシングル・オリエンテッドな人気を誇ったUKアイドル・バンドだったことを思えば、この形こそがもっとも的確なアンソロジーの形なのだろう。

この人たちの場合、メンバーは実際に演奏していないんだろ?とか、作られたアイドルなんだろ?とか、そういう方面にばかり話がいきがちで。いや、まあ、基本的にその指摘は大きく間違っているわけではないのだけれど。でも、これもまたポップ・ヒストリーの常道というか。

70年代初頭の英国ポップ・シーンで人気を博した、たとえばエジソン・ライトハウスとか、ブラザーフッド・オヴ・マンとか、ピプキンズとか、ホワイト・プレインズとか、ファースト・クラスとか…。こうした英国産ポップ・バンドは、すべてスタジオ・シンガーだったトニー・バロウズをメインに据え、腕ききセッション・ミュージシャンたちがバックを固めた擬似グループだった。同じころ盛り上がったグラム・ロック・ブームを背景に登場したゲイリー・グリッター、米国出身ながら英国で火が点いたスージー・クアトロ、やはりスタジオ・グループだったルベッツなども同様の手触りを持つポップ・アイドルたちだった。

米国に目を向けても、テレビ番組のためにオーディションでかき集められたモンキーズとか、バブルガム・ポップ・ブームの代表選手である1910フルーツガム・カンパニーとか、英国のトニー・バロウズと同じような存在であるロン・ダンテのヴォーカルをフィーチャーしたカフ・リンクスとか、アニメ番組の主人公バンドであるアーチーズとか…。これまた例には事欠かない。

つまり、実在するメンバーたちはあくまでも表の顔で、背後ではプロのソングライター、アレンジャー、プロデューサー、セッション・ミュージシャンたちが見事なスタッフ・ワークを繰り広げて鉄壁のポップ・レコードを構築する、と。そういう、いわゆる“架空の”バンド・ムーヴメントの英国におけるピークを記録したのがベイ・シティ・ローラーズというポップ・プロダクトだったんじゃないか、とぼくは思っている。いい曲、多かったもん。

ぼくが初めて彼らのシングルを買ったのは1975年だったと思う。フォー・シーズンズのヒットをカヴァーした「バイ・バイ・ベイビー」のシングル。まだベル/アリスタ・レコードがCBSソニーの下にあったころで。おぼろげな記憶しか残っていないけど、そのころローラーズ人気は日本でまだ本格的に爆発していなかったと思う。でも、映画『アメリカン・グラフィティ』のヒットにも後押しされつつ、ぼくの中でオールディーズ・ポップスへの関心がぐんぐん高まっていた時期でもあり、フォー・シーズンズをカヴァーした彼らには大いに興味を惹かれたものだ。レスリーの屈託のない陽性な歌声とビーチ・ボーイズのマイク・ラヴのそれがなんとなく似ている気もしていたし。

今振り返ると、メンバー的にはやっぱりレスリー、エリック、デレク、ウッディ、アランという顔ぶれだった74〜76年ごろが無敵感満点なわけで。そう思うといい時期に彼らの音に出会えたということだろう。イアンが入ったり、パットが入ったりしてからは個人的にはなんだか微妙…というか、この人たちの場合、レコードではほとんど自分たちで演奏していなかったわけで。メンバーが誰であろうとあまり事情は変わらないはずなのだけど。スタッフ・ワークの節目ってことなのかもしれない。

そんな歩みのもろもろを再検証するうえでも楽しいCD3枚組。箱はCDサイズで、各ディスクごとに紙ジャケ入り。デザイン的にはタータン・チェックだらけです(笑)。ブックレットには各シングルに関する簡単な解説や、日本盤シングルのジャケ写なども含むメモラビリア・フォトを満載。国内仕様盤には投げ込みで解説の対訳も付いてます。

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