Disc Review

“Let’s Rock” / The Black Keys (Easy Eye Sound/Nonesuch)

2019.06.28

BK_LetsRock

“レッツ・ロック”/ザ・ブラック・キーズ

ギブソン社をめぐる例のごたごたとかもあって、エレキ・ギターの影もすっかり薄くなりましたねとか、ロックなんかオワコンじゃねーの? とか。いろいろ乱暴なことを言われたりもする昨今なわけですが。

先日、このサイトでも紹介したラカンターズとか、今日取り上げるブラック・キーズとか、こういう連中の新作アルバムを耳にすると、いやいや、まだイケます、と。60〜70年代にロック音楽とともにわくわく青春時代を過ごした者としては感じられたりして。なんだか頼もしく、うれしくなるのだった。

というわけでブラック・キーズ、5年ぶりの新作! 9作目! 

タイトルからしてやばい。『“レッツ・ロック”』。引用符付き。なんでもテネシー州で電気椅子にかけられ死刑になった男が最後に遺した言葉に触発されたものらしい。強烈なアルバム・ジャケットとの合わせ技。そういう意味ではブラック・キーズもロックの終焉みたいなものを意識しているのかもしれないけれど。

が、とにかく、レッツ・ロック! レッド・ツェッペリンみたいなディストーション・ギターとか、デュアン・エディみたいなトワンギー・ギターとか、ジョー・サウスっぽいエレクトリック・シタールとか、ナゲッツっぽい60年代後半ガレージ・ロック・グルーヴとか、ロカビリーっぽい2ビート・グルーヴとか、ホットさとクールさが交錯するレイドバック感覚とか、スワンプ・ロック感覚とか、そして何よりも永遠のブルース・ロック感覚とか…。いろいろな要素がアルバム中にイマジネイティヴに飛び交う。

といっても、そこはブラック・キーズのこと。そうした伝統的要素に対しこれ見よがしに直球で攻め込んでいるわけではなく。たとえば、70年代に重鎮リーバー&ストーラーのプロデュースの下、スティーラーズ・ホイールが聞かせてくれた新旧感覚融合ロックンロール風味とか、真っ向からのブルース・ロック路線から巣立ち始めた時期のフリートウッド・マック的な、ちょっぴり神秘的なムードとか。そういう“際(きわ)”っぽい位置取りというか、ボーダー感覚というか、そういったものを想起させてくれる仕上がりだ。

もちろんメンバー二人、ダン・オーバックとパトリック・カーニー自身のプロデュース。オーバックが所有するナッシュヴィルのイージーアイ・サウンド・スタジオで録音されている。この5年間、二人それぞれの活動が続いていたけれど、やっぱり二人揃うと何かが違う。まったく、ただ者じゃないなぁ、と。今さらながら感服します。

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