Disc Review

The Boys of Dungeon Lane / Paul McCartney (Capitol/UMG)

ダンジョン・レインの少年たち/ポール・マッカートニー

ポールの新作。いつものようにフィジカルの到着を待ちつつ、昨深夜スタートしたストリーミングでいち早く楽しみまくりです。

いきなり1曲目。「アズ・ユー・ライ・ゼア」。全音下げチューニングのギターで6弦のEをずっと鳴らしっぱなしにしながらDmaj7→E→A(全音下げなので、実際のコードとしてはCmaj7/D→D→G/Dかな)と動いていく感じのイントロで、わーっ、ポールだーっ! と盛り上がる。

そこから、1曲の中で次々めまぐるしく曲想が変化していくポールお得意の展開へ。「アンクル・アルバート〜ハルセイ提督(Uncle Albert/Admiral Halsey)」とか「死ぬのは奴らだ(Live and Let Die)」というか、アルバム1曲目だから「バンド・オン・ザ・ラン」とか「ヴィーナス・アンド・マース〜ロック・ショー」の感じか。

語りあり、ポールならではのメロウなコード進行を彩るコーラス・ハーモニーあり、いまだ(ほんのちょびっとしか)衰えていないロックンロール・シャウトあり、ウイングスっぽいギター・アンサンブルあり。それぞれの要素だけでも1曲ずつ作れちゃいそうなのに、それを惜しげもなく1曲に詰め込むこの感じに、83歳にしてなおばりばりお元気なポールの心意気を感じる。

そこからラストまで、もう一気。普段はアルバムごとにテーマを設定して、音楽性も絞って表出しがちなポールではあるけれど、ロックなポール、ポップなポール、メロウなポール、アコースティックなポール…と、今回はいろいろな表情がアルバム全体に余すところなく散りばめられていて。全部乗せ/全部出しっぽい勢いがたまらない。

とはいえ、アップテンポものでもどこか内省的な手触りをたたえているところが今作のいちばんの特徴かも。その辺は年輪ゆえかな。あちこちで事前にインフォメーションされていた通り、今回のアルバム収録曲の歌詞にはポールのリアルな思い出というか、過去の情景が描き込まれていて。“煙が立ち込めるバーと、安っぽいギター”みたいにキャヴァーン・クラブでの若き日々を綴った「デイズ・ウィー・レフト・ビハインド」があったり、ジョージとチェスターからヒッチハイクしたときのルートをたどりながら“朝のバスでぼくたちは二人で会った/ぼくは空いた席で君の隣に座った/ギターやロックンロールの話をした/それらはけっして色あせることのない話題だった”と歌う「ダウン・サウス」があったり、リンゴと共演した「ホーム・トゥ・アス」があったり…。

プロデュースはアンドリュー・ワットと共同で。まだまだすべてを味わいきれていないけれど、これからじっくり楽しませてもらいます。転調も含めてコード進行がごきげんな例の未発表曲「ライフ・キャン・ビー・ハード」も収録されたし。この曲のギター、コピーするぞ! おーっ!


というところで、先日もお知らせした近々のイベント情報、もう一回掲載しておきますね。よろしく!

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