グッド・トゥゲザー/レイク・ストリート・ダイヴ
昨日の朝はアマプラでケンドリック・ラマーを中心とする音楽仲間たちがジューンティーンスの制定を祝って開催したコンサート『ザ・ポップ・アウト』のライヴ中継があって。午前中いっぱいそれ見て過ごしちゃったもんで。ブログ更新はお休みしました。
やー、長丁場だったけど、盛り上がりました。ブラック・ミュージック・シーンをめぐる状況というのも長い歴史の中、いろいろ変わってきたわけで。その現在形をそれなりに堪能できた中継だった。
半世紀以上前へと目を向けてみると、この、ブラック・ミュージックをめぐるあれこれってものに関して、米国の音楽シーンでえんえんハードな闘いを続けてきた偉人がいて。それがロックンロールの偉大な創始者のひとりである黒人アーティスト、リトル・リチャード。
この人の波乱に満ちた歩みを描いた映画が『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』(リサ・コルテス監督)。昨年1月に米サンダンス映画祭でプレミア公開されて以来、20以上の映画賞にノミネートされるなど大いに話題を巻き起こしてきた音楽ドキュメンタリー映画ですが。これがむちゃくちゃ興味深くて。面白くて。ぼくもパンフレットとかに原稿を寄せさせていただいたり、あちこちで推薦記事を書かせていただいたりしてきた。
まだまだ激しい人種差別が当たり前のように渦巻く1950年代にデビューし、自らLGBTQの表現者として、世に根強くはびこる性的マイノリティーに対する偏見とも闘い、「ルシール」「ジェニ・ジェニ」「グッド・ゴリー・ミス・モリー」など無数のヒットを生み出しながら、2020年に他界するまで圧倒的な存在感を放ち続けた。そんな彼の生涯が『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』には描かれていて。
この3月くらいから日本でもあちこちで上映されて好評を博してきたのだけれど。今夜と明朝、6月21日の19時40分からと、6月22日の10時から、東京・池袋の新文芸坐で上映されます。普通の上映ではなく、日本を代表するレコーディング・エンジニア、オノ セイゲンさんがマスタリングした超絶高音質で音楽映画を楽しむことができる“オノ セイゲン presents「オーディオルーム 新文芸坐」”の一環。
いい音で強烈なリトル・リチャードのシャウトを堪能できる機会です。まだ見てないなんて方は絶好のチャンス。今夜の上映後にはぼくとセイゲンさんとのトーク・ショーもあります。お時間ある方、ぜひチェックしてみてください。詳細は新文芸坐のサイトを。
もうひとつ、イベントのスケジュールをお知らせしておくと。CRT。来月、7月22日(月)は久々のCRTオールディーズまつり。夏だ! オールディーズだ! ということで、サーフィン/ホット・ロッドものを大特集して盛り上がりたいと思います。いわゆるサーフィン・ロックンロールではないけれど、達郎さんの『ビッグ・ウェイヴ』も発売40周年だし。今年も暑くなりそうな夏ですが、爽快なサーフィンものとか聞き倒して、快適に過ごしましょう。ロック・カフェLOFTのスケジュール・ページとかご参照ください。
さて。そんなわけで1日ブランクを置いてのニュー・リリース紹介。今日はこれまたリリースを心待ちにしていたレイク・ストリート・ダイヴの新作『グッド・トゥゲザー』です!
リード・ヴォーカルを務めるレイチェル・プライスが、ごきげんにレトロなギタリスト/ソングライターのヴィルレイさんと組んだ“レイチェル&ヴィルレイ”の素晴らしいセカンド・アルバム『アイ・ラヴ・ア・ラヴ・ソング』とか、ベースのブリジット・カーニーのソロ・アルバム2作とか、バンドでのカヴァーEPとかが間に挟まっていたとはいえ、レイク・ストリート・ダイヴとしてのフル・アルバムは2021年の『オブヴィアスリー』以来3年ぶり。まじ、うれしいリリースです。
創設メンバーのひとりだったギタリストのマイク“マクダック”オルソンが脱けたあとをジェイムス・コーネリソンが埋めるようになってから初のオリジナル・アルバム。レイチェルさんとツー・トップを張る形でソウルフルなリード・ヴォーカルも聞かせるキーボードのエイキー・バーミスが正式に加入してからは2作目。新体制でがっつり完成させた1枚だ。
前作に引き続き、フィオナ・アップルやシェリル・クロウを手がけるマイク・エリゾンドがプロデュース。録音はテネシー州ギャラティンのファントム・スタジオで。腕ききメンバーぞろいのバンドらしく、相変わらずロック、R&B、ソウル、ジャズ、ラテンなどをスリリングにブレンドしながらの極上フュージョン・ポップ盤に仕上がっている。オープニングを飾るアルバム・タイトル・チューンからして、いきなり7拍子で軽々とグルーヴしていて。最高だ。ブリジットさんのベース、相変わらずかっこいいなぁ。
去年の夏、エイキーさん入りのラインアップで来日したハンタートーンズのホーン・セクションも、yMusicのロブ・ムースが手がけたストリングス・アンサンブルも、ともにいい仕事してます。