Disc Review

Laura Allan / Laura Allan (Big Pink/VIVID SOUND)

ローラ・アラン/ローラ・アラン

今朝はいきなりけっこう忙しいので、いつものプレイリストとかお休みして、日本で紙ジャケ化再発された往年の1枚を軽く紹介しておきます。

ローラ・アランが1978年にエレクトラからリリースしたデビュー・アルバム。あー、懐かしい。20年くらい前、日本独自にCélesteレコードが、そして10年くらい前にワーナーが、それぞれCD化復刻したことがあったけれど、今回は韓ビッグ・ピンク・レコードのお仕事。去年の11月に輸入盤が出て、その国内流通仕様CDが昨日、ヴィヴィドから紙ジャケで出た、と。

そういうことです。ロサンゼルス出身のシンガー・ソングライター、ローラ・アラン。このアルバムを出したとき、すでに20歳代半ばを迎えていたみたいだけど、本格的に音楽活動を始めたのは10代前半からで。当時滞在していたドイツのハイデルベルクでモータウン・ソウルなどを演奏するバンドのリード・ヴォーカルをつとめたりしていたのだとか。

アメリカに戻るとジョニ・ミッチェル、ジャクソン・ブラウンらと交流するようになり、その流れで1971年、デヴィッド・クロスビーのファースト・ソロ・アルバム『イフ・アイ・クッド・オンリー・リメンバー・マイ・ネーム』に参加。「トラクション・イン・ザ・レイン」でオートハープとコーラスを聞かせていたのがローラだ。以降、多くのアーティストたちと関わりつつ、コーラスしたり、ビル・チャンプリンを擁するザ・サンズ・オヴ・チャンプリンに「ホールド・オン」って曲を提供したり…。やがて1978年、ようやく自らソロ・パフォーマーとしてアルバム・デビューを飾ることになったわけだ。

1970年代にはアサイラム系の名盤を数多く手がけ、やがて1980年代にかけてブルース・スプリングスティーンのエンジニアリングも担ったことでおなじみ、チャック・プロトキンがプロデュース。ジェフ・ポーカロ、リー・スクラー、ジム・ケルトナー、リック・マロッタ、ビル・ペイン、ジェイ・ウィンディング、チャック・レイニー、ワディ・ワクテル、デヴィッド・グリスマン、アーニー・ワッツ、シーウィンド・ホーンズなど、当時の売れっ子ミュージシャンたちがこぞってバックアップ。ビル・チャンプリン、ヴァレリー・カーター、ウェンディ・ウォルドマン、デヴィッド・ラズリーらもコーラスで参加。ローラ本人も歌うだけでなくオートハープ、ダルシマー、チター、カリンバ、クレイ・ドラムなどを演奏している。渋い。

全11曲中、フィエスタズが1958年に放ったR&Bヒット「ソー・ファイン」のカヴァーと、チャック・プロトキン作の「ワン・ウェイ・チケット」以外、9曲が彼女の自作曲。ぼくは「カム・アズ・ユー・アー」という曲が大好きだったのだけれど、これは翌1979年、リン・アンダーソンがアルバム『アウトロー・イズ・ジャスト・ア・ステイト・オヴ・マインド』でカヴァーしたりもしていたっけ。

これ、1970年代半ばに出ていればもっと売れたのかも。すでにパンク〜ニュー・ウェイヴが盛り上がりだしていた1978年の段階ではちょっと時代遅れの音作りだったかな。しかも当時の邦盤タイトルが『LAギャル』! まあ、名前の頭文字とかけた邦題ではありましたが、あまりにも…(笑)。その後、ローラさんはニュー・エイジというかアンビエントというか、そっち方向に思いきり舵を切って数枚のアルバムを残し、やがて2008年、癌との闘いを経て56歳という若さで亡くなってしまうわけですが。

でも、オリジナル・リリースから40年以上が過ぎて、時流とか特に関係なくなった今の耳で聞けば、本デビュー作の魅力もよりまっすぐ伝わりやすいか、と思います。

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