Disc Review

What A Groovy Day: The British Sunshine Pop Sound 1967-1972 / Various Artists (Grapefruit/Cherry Red)

ホワット・ア・グルーヴィー・デイ:ザ・ブリティッシュ・サンシャイン・ポップ・サウンド1967〜1972/ヴァリアス・アーティスツ

アメリカのライノとか、ヴァレーズ・サラバンドとか、イギリスのエイスとか、オーストラリアのティーンズヴィルとか、その時代その時代で勢いのある再発レーベルというのがあるわけですが。ここ数年、やけに勢いを感じさせているのはイギリスのチェリー・レッド傘下のグレイプフルーツ・レコードだ。

3枚組コンピレーション・シリーズがなかなかに強力で。本ブログでは去年だけでも、英国ビート・バンド勢がシーンになだれ込んできたことで一気に新局面へと移行していった激動の65〜68年のロサンゼルス・ポップ・シーンを総括した『英雄と悪漢~LAサウンドの光と陰、ビーチ・ボーイズからビーフハートまで』と、パワー・ポップの礎を築いた69〜75年の英国アクトを集めた『マイルス・アウト・トゥ・シー:ルーツ・オヴ・ブリテイッシュ・パワー・ポップ 1969〜1975』、そして、どこかノスタルジックな眼差しと、サイケデリック時代ならではの、漠然と未来を見据えるそれとが混在する英トイタウン・ポップをまとめた『クライム・アボード・マイ・ラウンダバウト!~ザ・ブリティッシュ・トイタウン・サウンド1967-1974』という3作のコンピを紹介している。今年に入ってからもファースト・クラスのコンプリート・レコーディング集を取り上げたばかり。

そんなグレイプフルーツ/チェリー・レッドからの新たなCD3枚組コンピレーションのご紹介。今回は1960年代後半にアメリカ西海岸で芽吹いたいわゆる“サンシャイン・ポップ”あるいは“ハーモニー・ポップ”、日本では“ソフト・ロック”という語が誤用され続けているあれですが、そういう音楽に呼応する形でイギリスでも続々生まれた同種の作品集。ハッピーで、キュートで、メランコリックで、繊細で、ちょっぴりサイケデリックで、時にはクラシカルだったりもする極上ポップ・テイストを存分に味わえる。

クリフ・リチャード、ペトゥラ・クラーク、ホリーズ、ハーマンズ・ハーミッツ、ニュー・シーカーズ、といった超メジャーものから、この時代の英国ポップ好きならば気になるはずのホワイト・プレインズ、ハーモニー・グラス、エピソード・シックス、ジョン・カーター、トニー・リヴァース、デザイン、フラワー・ポット・メンなどを経て、さらにはインフィニティとかザ・メロウ・イエローといった、当時はリリースされずじまいに終わった細かいところまで。ヒットあり、レアものあり、未発表ものあり。CD3枚に全87曲、4時間超。

最高です。いつものグレイプフルーツもの同様、ストリーミングもされてはいるものの、そちらは全53曲、2時間半弱のアブリッジド・エディション。ずいぶんしょぼくなる。なので、ここはやっぱりブツを手に入れましょう。ぼくも買ったばかりでまだ目を通していないものの、詳細解説を含む48ページのブックレットも付いているし。

チェリー・レッドのWebショップではもうアウト・オヴ・ストックになってます。グレイプフルーツの3枚組コンピはいつもすぐ売り切れちゃうので油断なさらぬよう。入手しやすい国内流通盤(Amazon / Tower)は当初1月末発売とアナウンスされていましたが、なんか4月以降に延びたみたいです。

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