Disc Review

New Kinda Groove: The Jon Cleary Collection / Jon Cleary (Sony Music Labels)

ニュー・カインダ・グルーヴ〜ザ・ジョン・クリアリー・コレクション/ジョン・クリアリー

毎週木曜日はいつもならスロウバック・サーズデイ恒例のプレイリスト、発表しているのですが。先週お盆休みいただいたりしていて、紹介したいニュー・リリースが渋滞気味なので。今週は普通にニュー・リリース紹介します。

とはいえ、過去音源中心のベスト盤のご紹介。主役は、本ブログでも今年の4月、『ソー・スウェル』というアルバムを紹介したことがあるジョン・クリアリー。英国生まれながら、もはやニューオーリンズR&B/ファンクの正統的継承者としてシーンを支えるごきげんなピアニスト&シンガーですが。

今年の10月にまたまた日本にやってきてくれることもあり、それに合わせて日本独自に編纂されたベスト盤、出ましたー!

彼が今世紀に入ってから立ち上げたFHQエンタテインメントの下でレコーディングした音源からセレクトした名演集。ニューオーリンズのジャズ・フェスで手売りするために、ホテルの部屋や楽屋、サウンド・チェックの合間、ツアー・バスの中などでのスケッチから作られた2007年の4曲入りEP、超入手困難な『ドゥ・ノット・ディスターブ』から全曲収められているのがうれしい。

さらに2008年にオーストラリアで録音されたライヴ『モー・ヒッパ・ライヴ』、ドクター・ジョンやボニー・レイットをゲストに迎えた2012年のアラン・トゥーサン作品集『オカペラ!』、グラミーの最優秀リージョナル・ルーツ・アルバム賞を受賞した2015年の『ゴー・ゴー・ジュース』、レタスのナイジェル・ホールががっつりサポートした2018年の『ダイナマイト』、ニューオーリンズで録音された2022年のソロ・ライヴ『ライヴ・アット・チッキー・ワー・ワー』など、FHQレコードからの全リリースよりピックアップされたベスト音源が楽しめる。

FHQ以外ながら、以前本ブログでも取り上げたニューヴェル・レコードからのリリース『ソー・スウェル』に収められていたスカイライナーズ「シンス・アイ・ドント・ハヴ・ユー」のカヴァーが入っているのもうれしい。加えてアルバム冒頭には、2022年のジャズ・フェスに合わせて新録された7インチ・シングルのAB面も収録されている。これもオリジナル7インチでの入手はかなりむずかしそうなので、ありがたい限りだ。

その2曲、まずひとつはワイルド・マグノリアスのナンバーにダニー・ハザウェイの代表曲のフレーズを重ね合わせた「ニュー・カインダ・グルーヴ〜エヴリシング・イズ・エヴリシング」。もうひとつがジョニー・ギター・ワトソンをカヴァーした「ロンリー・マンズ・プレイヤー」。どっちもレアな1975年の作品のカヴァーです。

ニューオーリンズR&Bに限らず、そこそこ幅広いレパートリーを取り上げつつ、しかしそれらを見事に絶品のニューオーリンズ・マナーで聞かせてくれるクリアリーの魅力を駆け足で味わうには絶好。未体験の方の入門編としても便利っぽいです。もちろん日本でジョン・クリアリーと言えばこの人、今回も日本に呼んでくれたピーター・バラカンさんがライナー書いてます。

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