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Disc Review

One Day / The Cactus Blossoms (Walkie Talkie Records)

ワン・デイ/ザ・カクタス・ブロッサムズ

ジャック・トーリーとペイジ・バーカム。ミネソタ州ミネアポリス生まれの2人兄弟によるルーツ・ロック/ポップ・カントリー・デュオがカクタス・ブロッサムズだ。苗字が違うけど、これはジャックのほうが19歳でソロのシンガー・ソングライターとしてデビューした際、ステージネームで名乗るようになったせいだとか。

でも、その後、兄弟で歌声を合わせてデュオ活動を開始。2011年にインディーズからリリースしたファースト・アルバム『カクタス・ブラザーズ』は、もう、これがとんでもなくごきげんなレトロ・カントリー・アルバムって感じで。もろハンク・ウィリアムスみたいな曲もあれば、ウェスタン・スウィングものもあれば、兄弟ということで、ルーヴィン・ブラザーズみたいなものも、もちろんエヴァリー・ブラザーズみたいなものある、という。むちゃくちゃ趣味性の高い1枚だった。

その後、ライヴを1枚挟んで、ケイシー・マスグレイヴズとツアーしたり、ミネソタの老舗パブリック・ラジオ・ショーだった『プレイリー・ホーム・コンパニオン』に出演して司会のギャリソン・ケイラーから“今アメリカが求めている兄弟デュオ”と称賛されたり。2016年にはレッド・ハウス・レコードと契約してセカンド・スタジオ・アルバム『ユーアー・ドリーミング』をリリース。2018年には例の『ツイン・ピークス』の新シリーズの何話目かのエンディングを飾ったりもして。2019年にはウォーキー・トーキー・レコードに移籍してさらなる新作アルバム『イージー・ウェイ』を出して。ミネアポリス仲間のジャック・クラットのアルバムにも演したりもして。

そんな流れの下、方向性としてはどんどん“エヴァリーズが21世紀にアルバムを作ったらどうなる?”的な感じを強めつつ。でもって、出ました。待望の新作『ワン・デイ』。これまた、もろに21世紀版のエヴァリーズというか。エヴァリーズ自身がやったほうがもっと今っぽくなるかも…的な?(笑) まじ、いい感じのエヴァーグリーンなポップ・カントリー・ロック感覚に満ち満ちた仕上がりだ。

てことは、つまり、ニック・ロウ〜ロックパイルとか好きな人なら絶対好きなあの感じ満載の1枚なわけで。こりゃ最高です。

今の若い世代にとって、どういうのが“いい曲”なのか、その最新のメロディ感覚とか、おぢさんにはまったくわからないのだけれど。しかし、そんなおぢさんにとっての“いい曲”“いいメロ”がここには横溢している感じで。楽しい楽しい。

オープニング・チューンの「ヘイ・ベイビー」は国境の南へ、あるいはワイルド・ウェストへと聞き手を誘うロード・トリップ・ソングで、南に行けばなんとかなるさ…という、テキトーなポジティヴさに半ば呆れつつもついつい乗ってしまう、ある意味ロックンロールかくあるべし的な1曲。アルバム全編、基本的にそのテイストが貫く。

社会から落ちこぼれた者の哀しみを歌った「バラッド・オヴ・アン・アンノウン」みたいな曲もあることはある。孤独や寂しさを歌った「ノット・ジ・オンリー・ワン」とか「ロンリー・ハート」のような曲もある。けど、社会派、みたいな感触ではなく、そこにもきっちりロイ・オービソン的なメロウな味わいが漂っている。泣ける。

とにかくどの曲でもエヴァリーズばりのクローズド・ハーモニーと強烈にトワンギーなバリトン・ギターが大いに存在感を放っていて。たまらないっす。

クリスチャン・ロック系のバンド、オーディオ・アドレナリンのタイラー・バーカム(ギター、バリトン・ギター)、本ブログでも紹介したことがあるシカゴのバンド、フラット・ファイヴのアレックス・ホール(ドラム)、ミネアポリスのインディ・バンド、テープス・ン・テープスのジェレミー・ハンソン(ドラム)、やはりミネアポリス系のフィリップ・ヒックス(ベース)、ジャズ、ロカビリー、ブルースなど超ジャンルで活躍するジョエル・パターソン(ペダル・スティール)、ブラック・キーズとかヨラとかアーロン・フレイザーとかダン・アワーバック絡みのアルバムでよく目にするレイ・ハシルド(キーボード)らがバックアップ。

加えて、「エヴリデイ」って曲にはジェニー・ルイスがゲスト・ヴォーカルとして参加してます。

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