Disc Review

The Ventures in Japan / The Ventures (Liberty/EMI)

ベンチャーズ・イン・ジャパン/ザ・ベンチャーズ

このところ、ケニー・ランキンが亡くなったり、バリー・ベケットが亡くなったり。訃報が次々立て続けに飛び込んできて。淋しい思いをしていますが。今また、ボブ・ボーグルが亡くなったという衝撃のニュースが伝わってきました。

ご存じ、ベンチャーズの創設メンバーのひとり。近年は体調が思わしくなく、05年以降、恒例の来日ツアーにも参加しなくなっていて。日本のファンもみんな大いに心配していたものですが。ついにそのときがやってきてしまいました。長い闘病ののち、現地時間の6月14日、地元ワシントン州ヴァンクーヴァーで他界。享年75。

彼らがロックンロール・ヒストリーで果たした大きな役割については、先日出した新書『ロック・ギタリスト伝説』でもたっぷり書かせてもらいましたが。特に、もともとリード・ギタリストだったボブ・ボーグルが、名手ノーキー・エドワーズと交替する形でベーシストの座についたことも、彼らの唯一無二のサウンド作りに大きく貢献しました。元ギタリストならではの、ハイ・ポジションも駆使したボブのスピーディなベース・フレーズが、故メル・テイラーの突っ込み気味のドラムと一体となって生み出すロックンロール・グルーヴは本当に最高でした。

そんなわけで、今回のピック・アルバムはニュー・リリースではなく。ボブ・ボーグル、ドン・ウィルソン、ノーキー・エドワーズ、メル・テイラーという最強のフル・ラインアップによる初来日を果たし、日本中をエレキの熱狂に巻き込んだ65年1月のライヴ・パフォーマンスを収めた大傑作アルバム。今なお色あせぬ歴史的ライヴ演奏を聞きながら、ボブ・ボーグルの冥福を祈りましょう。

あまりにも何度も来日してくれるので、ベンチャーズのことを、日本でしか人気のない“歌のない歌謡曲バンド”と思い込んでいるフトドキな方もいらっしゃるようですが。そういう方は、08年、ベンチャーズがロックンロール名誉の殿堂入りを果たしたときの模様がYouTubeにもアップロードされているので、ぜひそちらもご覧ください。ステージ上にはすでにボブの姿はないけれど、元気なころのインタビューやステージでの様子なども挟み込まれています

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