Disc Review

2024 Grammy Awards' Main Ceremony

2024年グラミー授賞式、振り返り

第66回グラミー授賞式、面白かったっすねー。

4つから6つに拡張された 主要部門のうち、従来の4部門 は、まあ、テイラー・スウィフト、マイリー・サイラス、ビリー・アイリッシュ、ヴィクトリア・モネ…と、ほぼ予測通りの女の子たちががっつり独占して。プロデューサー部門にジャック・アントノフが入っているので、これ加えてテイラーが2部門って感じ? ここ数年、あちこちで言われている通りの女の子の時代がいよいよ本格化した結果か。

他の細かい部門では、去年本ブログでも紹介したアルバムたちがいろいろウィナーに輝いていて。去年の11月、ノミネートが発表されたときのエントリーで振り返った作品中、以下のものがウィナーとなりましたー。おめでとうございますー。

Best Traditional Pop Vocal Album

Bewitched / Laufey (Self Released/AWAL Recordings America, Inc.)

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Best Folk Album

At Newport / Joni Mitchell (Rhino Records/WMG)

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Best Americana Album / Best American Roots Song / Best Americana Performance

Weathervanes / Jason Isbell & The 400 Unit (Southeastern Records)

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Best Traditional Blues Album

Blood Harmony / Larkin Poe (Tricki-Woo Records/Sony Music Japan)

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Best Historical Album

Written In Their Soul: The Stax Songwriter Demos / Various Artists (Craft Recordings)

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この中で特にうれしかったのは最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム部門のレイヴェイかなー。アメリカでは注目度もぐんぐん上がってるみたいで。ファンとしてはうれしい限りです。あと、最優秀トラディショナル・ ブルース・アルバム部門を征したラーキン・ポー。本ブログでもずいぶん前から推しまくっているので、うれしい。

でも、なんといってもジョニ・ミッチェルか。去年の暮れから今年にかけていろいろと2023年の年間ベスト…みたいな企画があちこちであって。ぼくはとにかくジョニさんイチオシを貫いていたのだけれど。日本では彼女のシーンへの本格復帰劇、そこまで大きく注目を集めなかったみたいで。あれー、オレだけ? と微妙に心細くなっていたものの。

いやいや、グラミーも注目してましたー。しかもジョニさん、自身初というグラミー授賞式でのパフォーマンスまで披露してくれて。「青春の光と影(Both Sides Now)」。2022年のニューポート・フォーク祭のときと同様、ブランディ・カーライルをはじめ、ルシャス、アリソン・ラッセル、シスタストリングス、ジェイコブ・コリアー、ブレイク・ミルズらジョニをリスペクトする後輩たちのサポートを受けながら、今のジョニさんならではの深い洞察に満ちた歌声を聞かせてくれて。泣けた泣けた。テイラーも、デュア・リパも、メリル・ストリープも、みんな泣いてた。

パフォーマンスといえば終盤に登場したビリー・ジョエルももちろんよかった。来日公演を堪能した直後だからということもあるし、久々の新曲「ターン・ザ・ライツ・バック・オン」をとうとう生で歌ってくれたということもあるし。しかし何と言っても、そのときピアノを弾き語るビリーの横でチェロを奏でていたのがレイヴェイちゃんだったことに盛り上がったのでした。

ぼーっと見ていたもんで、ノージくんに言われるまで気づかなかったんだけど(笑)。教えてもらって画面に目を戻してぶっとんだ。ちゃんとフロントでスポットを浴びながらひとりでカウンター・メロディを奏でるシーンもあったりして。まあ、画面に名前のスーパーとか出るわけでもなく、演奏後、司会のトレヴァー・ノアから紹介されることもなかったにせよ、これはやはり晴れ舞台でしょう。

ビリーと新曲を共作したフレディ・ウェクスラーが、今回最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム賞に輝いた『ビウィッチト』でも1曲、「マスト・ビー・ラヴ」って曲をレイヴェイと共作していて。そんな縁から実現した夢の共演だったのだろう。いい感じに世代を超えたコラボ劇。なんだか楽しかった。

追悼コーナーで背後に映し出されたメリンダさんとジェフリーの生前のお姿にもじんわり泣けたし。ラストにプレゼンターをつとめた闘病中のセリーヌ・ディオンのサプライズ登場。これも胸にきたし。

思えばショーの最初に登場したプレンゼンターはマライア・キャリーだった。マライアがまず最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を獲得したマイリーにトロフィを手渡して開幕し、ラスト、セリーヌがテイラーに最優秀アルバム賞のトロフィを渡して終わる。ここでもひとつの世代が次の世代といい感じにつながっていって、なかなか感慨深い授賞式でありました。受賞者のみなさん、改めておめでとうございます。

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