レイズ・リーガル&ホワイト・デニム Inc./レイズ・リーガル&ホワイト・デニム Inc.
カリフォルニア州オークランドを拠点とする“ワンス&フューチャー・バンド”のメンバーでもある黒人ギタリストのレイズ・リーガルと、テキサス州オースティン拠点の“ホワイト・デニム”のヴォーカル、ジェイムス・ペトラリ。
数年前、ホワイト・デニムが米西海岸をツアーした際に出会って。どちらも1960〜70年代のロックをはじめ、エディ・ハリスやジョー・ヘンダーソンらのジャズ、さらには1980年代のR&Bやニュー・ウェイヴといった音楽の好みが共通しているということから一気に意気投合。
リーガルさん、ペトラリさんに誘われるがまま、拠点をオークランドからオースティンへ。パンデミックのさなか、タッグを組んで音楽制作にとりかかった。で、一緒に曲を書き、ペトラリのスタジオ“レディオ・ミルク”入り。そうやって完成に至ったのが本作『レイズ・リーガル&ホワイト・デニム Inc.』なのでした。バンド名もそれ。“レイズ・リーガル&ホワイト・デニム・インコーポレイテッド”って読むのかな。“…インク”でいいのかな。
目指したのは、タートルズが1968年、12種類のバンド名を用意して、1曲ごとに異なる音楽スタイルの12曲をレコーディングしたアルバム『ザ・タートルズ・プレゼント・ザ・バトル・オヴ・ザ・バンド』とか、XTCのアンディ・パートリッジとコリン・ムールディングが1960年代後半のナゲッツ系サウンドへのオマージュとして立ち上げたサイド・プロジェクト、ザ・デュークス・オヴ・ストラトスフィアの諸作とか、あのあたりだったらしく。
なるほど、レコード・コレクター系の音楽マニアどうしならではのアプローチね。ということで、スティーリー・ダン、アイズリー・ブラザーズ、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、スタイル・カウンシル、カーズなどを想起させる音作りが交錯する新鮮なコラボレーションを満喫しているっぽい仕上がり。ブルー・アイド・ソウル+ジャズ・ロック+プログレ+フュージョン+ガレージ・ロック…みたいな?(笑)
もちろん、マイケル・ハンター(キーボード)、マイク・セント・クレア(キーボード、トランペット)、スティーヴ・テレベッキ(ベース)、ジェフリー・オルソン(ドラム)ら他のホワイト・デニムのメンバーたちも顔を揃えている。
ホワイト・デニム自体、サザン・ロック的な音楽から始まって、アルバムを重ねるごとに新たな音楽性を積極的に取り入れながら活動を続けてきていたわけで。そういう意味では本作はレイズ・リーガルが曲作りに大きく関わったホワイト・デニムの新作ととらえるべきものなのかも。でも、この出会いが思いきりフレッシュな刺激をもたらしたことは確か。ちょっとフィジカルが入手しづらそうで。ぼくも今のところストリーミングで楽しんでいるところだけど。がんばってみようっと。
このタッグ、これからも続くのかな…?