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Other Aspects: Live At The Royal Festival Hall / Paul Weller (Warner Brothers)

OtherAspects

アザー・アスペクツ〜ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・フェスティヴァル・ホール/ポール・ウェラー

これは、もう他の人には何の役にも立たない個人的な感慨でしかないのだけれど。ロンドンのテムズ川沿い、ウォータールー駅や、おなじみのでっかい観覧車ロンドン・アイのそばに位置する芸術関連複合施設サウス・バンク・センター内のロイヤル・フェスティヴァル・ホール。ここはとても思い入れのある劇場で。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団やフィルハーモニア管弦楽団が本拠にしているホール。収容人数は3000人弱。で、この劇場、実はブライアン・ウィルソンが『スマイル』とか『ザット・ラッキー・オールド・サン』とかをレコードの発売に先駆け世界初公演した場所なもんで。海を越えて、空を超えて、何度も何度もよく足を運んだのでした。

と、そんなロイヤル・フェスティヴァル・ホールで、去年の10月、ポール・ウェラーが2夜にわたってコンサートを行なった。そのときの記録が本作『アザー・アスペクツ〜ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・フェスティヴァル・ホール』だ。去年の9月、繊細な味わいを強めた最新スタジオ・アルバム『トゥルー・ミーニングス』をリリースしたあと、ポール・ウェラーはプロモーション・ツアーというのを実はほとんどやっていなくて。オランダで2回、ベルギーで1回、そして英国ロンドンで2回、という計5回のみ。そのうちの貴重なロンドン公演の模様ということになる。

場所柄ということもあるのか、いや、逆にこの企画ゆえの場所選びだったのか、なんとオーケストラをバックに従えてのコンサート。現在のツアー・メンバーを基本に、ロンドン・メトロポリタン・オーケストラの管弦の面々、さらにはシタール奏者やインディアン・ヴァイオリン奏者なども加えた大編成で、ふくよかな音世界を構築してみせる。以前、『ヒーリオセントリック』リリース後に、ロイヤル・アルバート・ホールのほうでフル・オーケストラを迎えた同趣向のコンサートを行なっているけれど、それの続編ヴァージョンということか。

もちろん、ライヴが行なわれた際、ぴっかぴかの新作だった『トゥルー・ミーニングス』のメランコリックな収録曲中心のセットリストで。あのアルバムに収められていた全14曲中11曲が演奏されている。他にも、初ソロ作からの「ザ・ストレンジ・ミュージアム」とか、セカンドの表題曲「ワイルド・ウッド」とか、ソロ時代の楽曲から、あ、そこ来る? みたいな選曲がけっこうなされていて。『22ドリームス』の「ホエアエヴァー・イエ・ゴー」あたりは基本的なアレンジは変らないものの、オリジナル・スタジオ・ヴァージョンよりも深みのある仕上がりになっていたりして。ウェラーさんの底力を改めて思い知る。歌声がいい感じに年輪を重ねてさらに魅力的になった。

ザ・ジャム時代のレパートリーからも「ボーイ・アバウト・タウン」「プライヴェート・ヘル」「テイルズ・フロム・ザ・リヴァーバンク」の3曲を披露。どれもぐっと落ち着いたテンポのもとで歌われているけれど、なんとなく、特に「プライヴェート・ヘル」のときとか、会場がざわつく感じもあって。楽しい。スタイル・カウンシル時代のレパートリーとしては「ハヴ・ユー・エヴァー・ハッド・イット・ブルー」と「ア・マン・オヴ・グレイト・プロミス」の2曲。

ストリングス・オーケストラの使い方も的確で。せっかくいるんだから、ここは豪勢に…みたいな感触はいっさいない。けっしてやりすぎることなく、ここぞの個所にきっちり抑制の効いたフレーズを忍び込ませてくるストリングス・アレンジ。バンドと弦のミックス・バランスもいいし。いやいや、冷静な人だなと感心しきり。フィジカル・パッケージはCD2枚組に、コンサートのフル映像とリハーサル映像、インタビュー映像など舞台裏のミニ・ドキュメンタリーを収録したDVD付きです。

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