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Joni 75: A Birthday Celebration / Various Artists (Decca)

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Joni 75: A Birthday Celebration

20世紀、もっとも才能のある女性ミュージシャンは誰だったのか、と。冷静に振り返ってみれば。諸説噴出したとしても、たぶん最終的にはこの人に落ち着くんじゃないかな。ジョニ・ミッチェル。ご存じ、カナダ出身のベテラン女性シンガー・ソングライターだけれども。シンガー・ソングライターと言ったときにイメージしがちなフォーク寄りの味だけでなく、ポップ、ロック、ジャズ、エスニック、アヴァンギャルドまで、彼女の音楽性は本当に底なし沼のように深く広大だ。クールでシニカルな視線に貫かれた歌詞も、静けさと激しさが共存する歌声もワン・アンド・オンリー。

近年はモルジェロンズ病という難病を患い、闘病中。加えて、脳動脈瘤にも冒されリハビリの日々。先日、デヴィッド・クロスビーが「彼女、だいぶ歩けるようになったよ」とか近況を伝えてくれてはいたけれど。でも、彼女の音楽は今なお現役だ。功績もけっして色褪せない。彼女がいなければ、その後シーンを賑わしたたくさんの女性シンガー・ソングライターたちも今と同じような形では存在しえなかったはずだ。

と、そんな偉大なジョニ・ミッチェルの生誕75周年を祝って、去年の11月6日と7日、ロサンゼルスでオールスター・トリビュート・コンサートが行なわれた。出演したのは、ジェイムス・テイラー、クリス・クリストオファソン、グレアム・ナッシュら、ジョニと同世代のベテラン勢から、ノラ・ジョーンズ、ブランディ・カーライル、ダイアナ・クラール、チャカ・カーン、エミルー・ハリス、ラ・マリソウル、ソチ・フローレスら、ジョニが切り拓いてきた地平のもとで活躍する後輩女性アーティストたち、そしてロス・ロボス、ルーファス・ウェインライト、シール、グレン・ハンザードなども加わって…。ジョニの音楽性を反映し、実に多彩なジャンルの多彩なアーティストたちが思い思いのやり方でパフォーマンスを披露した。

そこからピックアップされた16曲を収めたのが本作だ。基本的にはジョニの自作曲をみんながカヴァーしているのだが、1曲だけ、ジョニが書いたものではない曲が入っている。グレアム・ナッシュの「アワ・ハウス」。ご存じ、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングが70年に発表したアルバム『デジャ・ヴ』の収録曲だ。27歳だったグレアム・ナッシュが、当時一緒に住んでいた26歳のジョニとの暮らしを淡々と綴った名曲。それを76歳になったナッシュが、ピアノを弾きながら、観客と声を交えつつ歌う。客席には病にもかかわらず、久々に公の場に姿を現わしたジョニの姿も…。泣けます。

アンコールの「ビッグ・イエロー・タクシー」は全員参加。ジョニも仲間に支えられながらステージに登場した。3月下旬には21曲入りのDVDも出るようで、断然そっちを手に入れたほうが楽しいわけですが。待ちきれないので、こっちを楽しみながらしばし映像の到着を待ちます。

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