Disc Review

Perfect Union / Kool & The Gang (Ru-Jac Records/Omnivore Recordings)

パーフェクト・ユニオン/クール&ザ・ギャング

クルギャン、最高! クール&ザ・ギャング。大好きだったなー。

世代的には、やはり1970年代半ば、「ファンキー・スタッフ」とか「ジャングル・ブギー」とか、あの辺のワイルドなホーン・セクションをフィーチャーしたファンキー・ヒットを連発していた時期のクルギャンにまずノックアウトされたクチですが。

その後、1979年にリード・ヴォーカリストとしてジェイムス"JT"テイラーが加入。エミール・デオダートをプロデューサーに迎えたアルバム『レイディーズ・ナイト』をリリースして。そこからのポップな快進撃も忘れられない。以降の『セレブレイト!』(1980年)、『サムシング・スペシャル』(1981年)、『アズ・ワン』(1982年)、『イン・ザ・ハート』(1983年)、『エマージェンシー』(1984年)あたりの時期までは、まじ無敵だった気がする。

そんな無敵期、1980年代半ば、クール&ザ・ギャングが来日した際、創設メンバーのひとりであるロバート“クール”ベルと、当時フロントを張っていた“JT”テイラーにインタビューする機会があって。先日、文化放送『くにまるジャパン極』に出たときにも披露したエピソードだけれど。どこかのホテルの一室だったっけ。いろいろ面白い話をうかがった。その中で、クルギャンが後輩ミュージシャンに与えた影響の大きさ、みたいな話題になったとき、当時ずっと気になっていたことをストレートに質問してみた。

“あのぉ、ワム!の「ラスト・クリスマス」って曲あるじゃないですか。あれとか、あなた方の「ジョアンナ」にそっくりですよね?”と。

そしたらクールさんとJTさん、こう答えた。

“いや、あの曲だけじゃないぞ。あいつら、俺たちの「ビッグ・ファン」に似た曲もやってるだろ。なんだっけ、ちょっと前に流行ったやつ”
“え、何だろ、「エヴリシング・シー・ウォンツ」ですかね…”
“タイトルは覚えてないな。お前、ちょっと歌ってみろ”
“げっ。ここで、ですか?”

というわけで、なんとぼくはクールさんとJTさんの目の前で、アカペラでワム!を歌うという恐るべき体験をする羽目に陥ったのでありました。で、仕方ないから歌っていたら、クールさんとJTさんは机をドンッ、パッ、ドンッ、パッ…と叩きながら、ぼくの歌うワム!のメロディに合わせて「ビッグ・ファン」を歌い、“ほら! なっ?”と笑ったのだった。

とんでもないムチャぶりではあったけれど、クール&ザ・ギャングと一緒に歌ったことがある日本人もそう多くはないと思うし。これはこれでむちゃくちゃ光栄な、夢のようなシチュエーションではあった。あー、懐かしい。

と、そんな懐かしいエピソードを思い出させてくれたうれしい1枚。出ました。そう。クール&ザ・ギャング、25作目にあたる新作オリジナル・アルバム『パーフェクト・ユニオン』! 2013年のクリスマス・アルバム『クール・フォー・ザ・ホリデイズ』以来8年ぶり、企画ものではないスタジオ・アルバムとしては2007年の『スティル・クール』以来、実に14年ぶりということになる。

プロデューサーとしてクレジットされているのは、クールさんの弟で、やはり創設以来のオリジナル・メンバーながら、去年の9月に突然他界してしまったロナルド・ベル。なので、詳しくはわからないけれど、去年の9月以前に録音された音源が中心なのかな。2016年にシングルとしてリリースされ久々にチャートインした「セクシー(ホエアド・ユー・ゲット・ユアーズ)」も入っている。ちょびっと意欲的にラップとかも取り込みながら、“ぼくたちにはもっと多くのレノン、リンカーン、ケネディ、キング、マーリー、ガンジーが必要だ/神様、ぼくたちを助けてくれる誰かを送ってください/夢とともにぼくたちを救ってくれる誰かを…”とメッセージする最新シングル「パースート・オヴ・ハピネス」は通常アルバム・ヴァージョンに加えて、キース・マレイをフィーチャーした“ラップ・ヴァージョン”なるものも収録。それらを含む全9曲10トラックだ。

前作『スティル・クール』もアダルト・コンテンポラリー・テイストの「デイヴ」とか「ステッピン・イントゥ・ラヴ」とか手堅くごきげんな曲がいろいろ楽しめて、ああ、別に新しくも何ともないけど、でも、やっぱクルギャンはいいなぁ…と、そんな思いを新たにさせてくれた、オールド・ファンにとってはうれしい1枚だったけれど。今回の『パーフェクト・ユニオン』もそう。まさにそれ。聞いて、もう一発で、お、クルギャン! と。そう思わせてくれる曲ばかり。ファンキーさとメロウさとが絶妙の案配で混じり合うアダルトでキャッチーなR&Bワールド。

こういう音楽はいつまでもあり続けてほしいし、そういう新曲もずっと生まれ続けてほしいし。その担い手としてのクール&ザ・ギャング、感謝してます。ほんと。去年の来日予定が流れちゃって残念だったけれど、また来てもらえる日の到来を心から待ち望んでおります。

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