Disc Review

Solo Casting / William Lyall (Big Pink/Vivid Sound)

ソロ・キャスティング/ウィリアム・ライオール

ビル・ライオール、あるいはビリー・ライオールって名義のほうがおなじみかも。パイロットやアラン・パーソンズ・プロジェクトでキーボード・プレイヤーとして活躍していたウィリアム・ライオール。デビュー前のベイ・シティ・ローラーズに在籍していたこともあるとかないとか…。

かの超名曲「マジック」を含む、パイロット、1974年の傑作ファースト・アルバムの全曲をデヴィッド・ペイトンと共作したり、翌年リリースのセカンド・アルバムでも5曲を書き下ろしていたり。ソングライターとしても初期パイロットで大いに存在感を発揮していた重要人物ですが。

この人、パイロットを脱退後、1976年にソロ・アルバム『ソロ・キャスティング』をリリースしていて。以降、1996年に英国のシー・フォー・マイルズ、2007年に日本のマスクラット・レコードなどからボーナス入りでCD化再発されたりしていたのだけれど。さらに去年の10月ごろ、韓国のビッグ・ピンク・レコードからも紙ジャケ仕様で再々発されて。

そのとき本ブログでも紹介しようかなと考えたものの、なんだかタイミングが合わず紹介せずじまい。残念に思ってたら、なんと先月末、われらがヴィヴィド・サウンドからそのビッグ・ピンク盤の国内流通が実現。あ、じゃ、このタイミングだな、と。そう思い立って。まあ、微妙に遅ればせながら感のあるピックアップですが、ひとつ。

デヴィッド・ペイトン(ギター)、イアン・ベアンソン(ギター)、ステュアート・トッシュ(ドラム)らパイロットの仲間はもちろん、フィル・コリンズ(ドラム)、フィル・チェン(ベース)、ロバート・アーワイ(ギター)、バリー・デ・スーザ(ドラム)、ロニー・レイヒー(キーボード)、ブガッティ&マスカー(コーラス)ら気になる顔ぶれが手を貸していて。

アレンジ/コンダクターとしてポール・バックマスター、マーティン・フォード、リチャード・ヒューソンといった名前が並んでいるのもうれしい。プロデュースはクイーンとの仕事でもおなじみ、トライデント・スタジオ出身のロビン・ジェフリー・ケイブル。

パイロットっぽかったり、アラン・パーソンズ・プロジェクトっぽかったりするのは、まあ、当然として、他にもエルトン・ジョンっぽかったり、10CCっぽかったり、ELOっぽかったり、ウイングスっぽかったり、クイーンっぽかったり…。それでいて、そのどれとも違う独自のポップ・ワールドを展開してみせる。ポップさとアヴァンギャルドさの共存具合が絶妙なパワー・ポップ〜ポップ・プログレ作だ。

ライオールさんは1989年、36歳という若さで亡くなってしまったこともあり、これが唯一のソロ名義の作品。この種のサウンドがお好きな方はもう全員持っている盤かもしれないけれど。未体験の方が万一いらっしゃったら、この機会にぜひ。残念ながらサブスクには入っていないみたい。

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