Disc Review

Year of the Spider / Shannon & The Clams (Easy Eye Sound)

イヤー・オヴ・ザ・スパイダー/シャノン&ザ・クラムズ

自分たちの音楽を単語3つで表現してください、と言われて、シャノン&ザ・クラムズの肝っ玉リード・ヴォーカリスト/ベーシスト、シャノン・ショウ姐さんはこう答えたそうだ。

「“パンク・オールディーズ”ね」

単語2つ。ひとつ余っちゃってるじゃねーか(笑)。テキトーだな。けど、OK。ばっちり。1950年代、あるいは1960年代のオールディーズが放つレトロ・グルーヴに現代からアプローチする際、そのキュートでロマンチックな側面に思いきり着目するアーティストもいるし、そうではなく、それらの根底に流れるワイルドなロックンロール感覚に対して熱い憧れを表出する者たちもいる。シャノン・ショウとコディ・ブランチャードがフロントを張るベイエリアの4人組、シャノン&ザ・クラムズの場合は間違いなく後者だ、と。そういうこと。

やさぐれまくったブロンディみたいな、そんな彼らの新作が『イヤー・オヴ・ザ・スパイダー』だ。2018年の前作『オニオン』に引き続き、ブラック・キーズのダン・オーバックがプロデュース。ナッシュヴィルにあるオーバックのイージー・アイ・サウンド・スタジオでレコーディング。相変わらずドゥーワップ、ガール・グループ・サウンド、フォーク・ロック、ヴィンテージR&B、サーフ・ミュージック、ガレージ・パンクなどの要素をごった煮にした魅惑のクラムズ・ワールドを構築してみせる。

ただし、歌詞の世界観はぐっと“今”寄りというか、けっこうダークだったりして。その辺がこの人たちならではの魅力。

ジョー・ミーク的なマイナー・サーフ調の「リーヴズ・フォール・アゲイン」では“夜、目を閉じる/私の赤い目の音が聞こえる/恐ろしい音が…”とか歌ってるように聞こえるし(つたない英語力ゆえ、ちゃんと歌詞を聞き取れていませんw)、タートルズっぽい「ゴッドストーン」では“月明かりを切り裂いて奇妙な叫び声/でも私たち、ぼんやりしちゃってて聞こえない/だから暴れまくるだけ…”とか歌ってるっぽいし、ブランチャードが持ち前の内省的なファルセットでブルージーに綴る「クロール」って曲では“俺は穴を掘って/お前を代わりに埋める…”とか歌ってるみたいだし。

ドリーミーなフィフティーズ〜シックスティーズ・サウンドにアプローチしているけれど、ドリーミーはドリーミーでも、おっかない悪夢、みたいな。

ドラムのネイト・メイエンも、キーボードのウィル・スプロットも好演。特にスプロットの幅広いキーボード・ワークがアルバムにいい意味でのバラエティを与えていて。ダン・オーバックの意図みたいなものを見事に具現化している感じ。

全13曲中、アルバムの冒頭に収められたダークでダウナーな「ドゥ・アイ・ウォナ・ステイ」だけ4分半あるけれど、他の12曲は全部3分前後。半数以上の7曲が2分台だ。これもよし。全曲超ごきげん、とまではいかないものの。どの曲も狙いどころが明解で。聞く側のツボにハマれば間違いなくクセになる。いい感じにヤバかっこいい新作です。

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