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Disc Review

What It Is! Funky Soul And Rare Grooves (1967-1977) / Various Artists (Rhino)

ホワット・イット・イズ! ファンキー・ソウル・アンド・レア・グルーヴズ(1967〜1977)

CRTでのソングライター・ファイル第一回、キャロル・キング・ナイト、近づいてまいりました。なので、このところは新譜をあれこれ聞く合間に、ちょこちょこ、キャロル・キング関連の音源を楽しんでいるのだけれど。この人はやっぱりワン・アンド・オンリーだなぁ。60年代の職業ソングライター時代も、70年代以降のシンガー・ソングライター時代も、全キャリアを通して、この人って自分が意図して狙いにいったものではなく、無意識の部分というか、ついつい“地”が出ちゃったもので大当たりをとっているような気がして。その辺が彼女の、こう、なんとも言えずイノセントな感触を生み出している原因なのではないかなと再確認したりもしている今日このごろですが。

そんなこんなも含め、17日、歌舞伎町でたっぷり振り返りましょう。近々翻訳も出る予定のケン・エマーソン著『Always Magic In The Air - The Bomp and Brilliance Of The Brill Building Era』って本があって。あとがきを書かせてもらう予定になっているのだけれど。これがリーバー&ストーラー、バカラック&デイヴィッド、セダカ&グリーンフィールド、マン&ワイル、ポウマス&シューマン、バリー&グリニッチ、そしてもちろんゴフィン&キングといったソングライターたちが50~60年代、マンハッタンのブロードウェイ1650、そう、ブリル・ビルディングを舞台に大活躍していた時代を振り返る夢のような一冊。5年くらい前にDVD化された映像ドキュメンタリー『The Hitmakers』あたりともシンクロする内容で。この本の情報なども交えつつ、楽しみたいものです。

で、それとはまったく関係なく、今回のピック・アルバムはライノから10月に出た4枚組ファンク・コンピ。ワウワウかましたチキン・スクラッチ・ギター、ぶくぶくグルーヴするベース、タチチチタチチチ細かく刻みながらもビッグなビートを繰り出すドラム、うなるハモンド、むせぶフルート、パンチの効いたホーン・セクションなどにまみれた全91曲だ。ナインス・コードの嵐ですよ。ワーナー、リプリーズ、アトランティック/アトコ/コティリオン、カートム、アルストンあたりの音源からのセレクション。そこそこ有名どころも入っているけれど、大半は最近とんと店頭ではお見かけしなくなったレアもので。ヒップホップのネタとして重宝されている音源も多いみたい。

ワッツ103rdストリート・リズム・バンド、ザ・ビギニング・オヴ・ジ・エンド、カーティス・メイフィールド、リトル・シスター、バー・ケイズ、ルーファス・トーマス、クラレンス・カーター、ウィルソン・ピケット、エディ・ハリス、ドン・コヴェイ、モンゴ・サンタマリア、メンフィス・ホーンズ、コールド・ブラッド、ドクター・ジョン、ジーン・マクダニエルズ、アラン・トゥーサン、リトル・リチャード、ラベル、エディ・ヘイゼル、アース・ウィンド&ファイア、マロ、ミーターズ、シリル・ネヴィル、キング・カーティス、コーネル・デュプリー、シートレインなど、R&B畑のみならず、ジャズ、ロック、ポップまできっちり目配りした幅広い視点で60~70年代ファンク・ヒストリーを再構築してみせる。個人的にはカーティス絡みのベイビー・ヒューイ&ザ・ベイビー・シッターズや、なーんとルルまで含まれていたのがうれしかった。ブラザー・ジャック・マクダフの「いそしぎ」とか、強力にえぐくて、まじ、ごきげん。

その昔、80年代だったかな、海外で何回かレコーディングを経験したとき、アメリカのミュージシャンやエンジニアと話していて、アメリカと日本とで“ファンキー”というコンセプトの解釈がかなり違っていることを思い知らされた。まあ、ファンキーってのはアメリカで生まれた感覚なのだから、当然こっちが間違っているわけだけど(笑)。そのあたりの軌道修正にも絶好の参考アイテムか、と。

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© 2020 Kenta Hagiwara