Disc Review

Girl Friends / Dion (KTBA Records)

ガール・フレンズ/ディオン

現在84歳のディオンさん。ちょうど10年前、ニューヨークのビーコン・シアターでついにこの人のコンサートを見ることができたのだけれど。あのとき74歳だったわけだよね。すげえ元気なじいさんだなー…と、うれしく、頼もしく思ったものだけれど。

いやいや、84歳になった今でも全然衰えなし。新作届けてくれました。

ジョー・ボナマッサ、ブライアン・セッツァー、ジョン・ハモンド、ロリー・ブロック、ヴァン・モリソン、ジョー・ルイス・ウォーカー、Z.Z.トップのビリー・ギボンズ、サニー・ランドレス、サマンサ・フィッシュ、ポール・サイモン、リトル・スティーヴン、ブルース・スプリングスティーン&パティ・スキャルファ夫妻などをゲストに迎えた2020年の『ブルース・ウィズ・フレンズ』

そこから引き続きのボナマッサ、ランドレス、ギボンズ、スプリングスティーン夫妻らに加えて、G.E.スミス、マーク・ノップラー、エリック・クラプトン、ピーター・フランプトン、スティーヴ・コン、ボズ・スキャッグス、ケブ・モ、マーシア・ボール、リッキー・リー・ジョーンズらを迎えた2021年の『ストンピング・グラウンド』

この2作の後を受け、またまた豪華な顔ぶれのゲスト陣が参加したディオンの新作アルバム。今回はそのタイトル通り、女性アーティストばかり12人を各曲ごとに迎えた1枚になっている。前2作同様、ウェイン・フッドとディオンの共同プロデュース。ボナマッサとロイ・ワイズマンのKTBA(キーピング・ザ・ブルース・アライヴ)レコードからのリリースだ。全12曲中11曲がディオンとマイク・アキリーナの共作。残る1曲が2000年にアルバム『デジャ・ニュー』で発表ずみの「ヘイ・スージー」の再演で、これはディオンと故スコット・ケンプナー(ザ・ディクテイターズ、ザ・デル・ローズ)の共作だ。

アルバムの基調を成しているのはブルースだけれど、幅広い音楽性をたたえたディオンならでは、カントリー界からはジューン・カーターの娘さん、カーリーン・カーター、ブルース界からはジョニー・コープランドの娘さん、シェメキア・コープランド、そしてルーツ・ロック・シーンからはテデスキ・トラックス・バンドのスーザン・テデスキ姐さんなど、実に多彩なジャンルから優れた女性アーティストたちを招いて躍動的な共演を聞かせてくれている。

コープランド、テデスキ、カーターに加え、ソウルフルなベースの名手でもあるダニエル・ニコル、『ブルース・ウィズ・フレンズ』にも参加していたロリー・ブロック、シカゴ・ブルースの女王的存在のデビー・デイヴィス、凄腕ヴァイオリニストのランディ・フィッシェンフェルド、『サタデイ・ナイト・ライヴ』のハウスバンドでも活躍するニューヨークの“ビーハイブ・クイーン”ことクリスティン・オールマン、カントリー・ソウル系のマギー・ローズ、デイヴ・スチュワートの秘蔵っ子ジョアン・ショー・テイラー、フロリダで自身のバンドを率いて活躍するローカル・ソウル・ディーヴァ、ヴァレリー・タイソンが参加。

カナダ出身で、現在は米テキサス州オースティンを拠点に活躍するスー・フォーリーも参加して、前述「ヘイ・スージー」をデュエットで再演しているのだけれど。ディオンといえば“スー”だから。1961年の大ヒット「浮気なスー(Runaround Sue)」。で、ディオンが60年連れ添っている奥さまもスーザン。スーづくし。楽しい。盛り上がる。

“ディオンと一緒に歌いたくない女性なんて、いるわけないでしょ? 彼と一緒に歌うことはすべての女性の夢よ”というシェメキアさんの言葉が泣ける。といっても、全員がヴォーカルで参加しているわけではなく、ノッケのスーザン・テデスキみたいにいっさい歌わずギタリストとして灼熱のギター・ソロを聞かせるだけだったり、あるいはランディ・フィッシェンフェルドもヴァイオリンでオブリやソロでディオンのヴォーカルになまめかしく絡んできたり…。その辺、曲ごとの差配具合もいかしている。

繰り返しになりますが、ディオンは現在84歳。なお、ごきげん。かっこよすぎる。またライヴ、見たいな。

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