Disc Review

Nothing But Pop File, vol.91: The J. Geils Band Still Blow Your Face Out!

NBPファイル vol.91:J・ガイルズ・バンドは永遠に不滅です

本日3月7日はピーター・ウルフのお誕生日。1946年生まれだから今日で78歳。おめでとうございます!

説明はいるかな? まあ、いるか。1967年から1983年まで、最強のロックンロール/R&Bグループ、ザ・J・ガイルズ・バンドのリード・ヴォーカリストをつとめた後、ソロへと転じ、痛快な歌声でぼくたちをノックアウトし続けてきた男。

大好きです。もちろんソロ・アルバム群もかっこいいのだけれど、やっぱファンとしてはどうしてもJ・ガイルズ・バンド時代への思い入れが深いもんで。スロウバック・サーズデイ恒例NBPプレイリスト、今週はピーター・ウルフがJ・ガイルズ・バンドに在籍していたときの歌声を集めてみました。

ピーター・ウルフ入りのJ・ガイルズ・バンドはオリジナル・スタジオ・アルバムを10作出しているので、それぞれから1曲ずつ、年代順に並べて。何作か出しているライヴ・アルバムのうち、傑作の誉れ高き『フルハウス』と『狼から一撃(Blow Your Face Out)』からも1曲ずつ加えた全12曲。

まあ、この人たちの場合、R&Bとかロックンロールのカヴァーも得意としていて。その選曲センスとかも最高なのだけれど。今回はピーター・ウルフ&セス・ジャストマン(キーボード)という強力なバンド内ソングライター・コンビが提供したオリジナル曲の中からぼくが好きなものをピックアップしたセレクションになっております。

J・ガイルズ・バンドといえば、一般的には1981年から82年にかけて大ヒットした全米ナンバーワン・シングル「センターフォールド(墜ちた天使)」でおなじみかな。これはジャストマン単独作のオリジナルで。ハイスクール時代に憧れていた女の子が男性誌の見開きピンナップ・ページでセクシー・ショットを披露していることにショックを受けた主人公の物語を、痛快なロックンロール・サウンドとキャッチーなハーモニカ・リフに乗せて歌ったこの曲は日本でも大ヒット。ただ、あまりにも特大ヒットしたのが逆にいけなかったのか、なんとなく単なる一発ヒット屋的なイメージで今や忘れられつつある感じが残念だけれど。

いやいや、とんでもない。前述の通り1967年、米ボストンで結成されて以来、ロックンロールやR&Bへの限りない愛情を爆発させつつ、ピーター・ウルフがソロ独立してしまう1983年まで、メンバーチェンジを一切せずバンド一丸となった活動を続けてきた強者たちだ。ブルースやR&Bをこよなく愛した6人のアメリカン・ガイたちの底力は絶対に忘れちゃいけない。

その昔、まだインターネットとかあまり広く使われていなかった1996年に、別のサイトで彼らのことを熱く語ったことがあって。そこからさらに昔、1990年にレココレに寄稿した記事にリンク張ってみたり。好き好きパワーを炸裂させたことがあるのだけれど。それをWEBに載せたも28年前のピーター・ウルフのお誕生日のことだった。ずいぶん長いことブログとかやってるんだな、俺(笑)。懐かしい。

そこにも書いたことだけれど。1980年6月、「センターフォールド」の大ヒット直前に彼らの初来日公演があって。当時、出版社に勤めるサラリーマン編集者だったぼくは、残業などぶっちぎってさっさと定時に退社。中野サンプラザで1回、新宿厚生年金会館で3回、今はなき両会場で計4回行なわれた東京公演全てに通いつめたっけ。

ライヴ本編はほぼ1時間程度で終了。そのあと、何度も何度もアンコールで出てきて、全長2時間半くらい。いちばん多いときでアンコールに9回応えてくれたなー。8回目のアンコールが終わって、まさか出てこないよな…と思いつつも声援を送っていたら、まさかの9回目。“一晩じゅう演るって言っただろ!”と不敵な笑いを浮かべてMCしたピーター・ウルフの表情が忘れられない。

ソウルフルなハモンド・オルガンをうならせるセス・ジャストマンも、フル・ステージ軽々とハーモニカを吹き続けるマジック・ディックも、荒っぽいけれど歌心に満ちたギターを聞かせるJ・ガイルズも、渋さと鋭さを併せ持ったしゃがれ声で歌心を炸裂させるピーター・ウルフも、すべてがすごかった。テクニック的にはけっしてうまいバンドではないかもしれないけれど、全員が一丸となって自ら信じるグルーヴめがけて突進を続けている、そんな勢いがやけに爽快でありました。

過去何度か、ピーター・ウルフ入りで再結成ライヴが実現したりしていたものの、ある時期からリーダーだったJ.ガイルズ抜きで活動しちゃったりしたことで、ガイルズと他メンバーとの間で大もめになるなどゴタゴタしまくって。やがて2017年にガイルズが他界。往年の痛快さを体感してきたファンにとってちょっと寒々しい幕切れになってしまったものです。バンドはむずかしいっすね。

でも、彼らの躍動は永遠です。ああいうバンド、また出てこないかなー。以前、本ブログでも紹介した『ロックパラスト』でのライヴDVDへの商品リンクも貼っておきますね。


The J. Geils Band Still Blow Your Face Out!

App Icon Apple Music
  1. What's Your Hurry? / The J. Geils Band (1970, from album "The J. Geils Band")
  2. Cry One More Time / The J. Geils Band (1971, from album "The Morning After")
  3. Hard Drivin' Man (Live) / The J. Geils Band (1972, from album "Full House")
  4. Southside Shuffle / The J. Geils Band (1973, from album "Bloodshot")
  5. Diddyboppin' / The J. Geils Band (1973, from album "Ladies Invited")
  6. Must of Got Lost / The J. Geils Band (1974, from album "Nightmares...and Other Tales from the Vinyl Jungle")
  7. Think It Over / The J. Geils Band (1975, from album "Hotline")
  8. Start All Over (Live LP Version) / The J. Geils Band (1976, from album "Live: Blow Your Face Out")
  9. You're the Only One / The J. Geils Band (1977, from album "Monkey Island")
  10. Take It Back / The J. Geils Band (1978, from album "Sanctuary")
  11. Till the Walls Come Tumblin' Down / The J. Geils Band (1980, from album "Love Stinks")
  12. Piss On the Wall / The J. Geils Band (1981, from album "Freeze Frame")
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