Disc Review

bLOW / Colin Linden (Highway 20 Records)

ブロウ/コリン・リンデン

以前、ルーサー・ディッキンソンとの連名でリリースした傑作カヴァー・アルバム『アムール』を本ブログでも紹介したことがあるコリン・リンデン。

強力なオルタナ・カントリー・バンド、ブラッキー&ザ・ロデオ・キングズのメンバーとして、あるいは一瞬ボブ・ディランのネヴァー・エンディング・ツアー・バンドでチャーリー・セクストンの代役をつとめた男として、さらにはブルース・コバーン、ザ・バンド、スー・フォーリーらカナダ系アーティストとの充実した仕事ぶりや、Tボーン・バーネット絡みのグレッグ・オールマン、リアノン・ギデンス、ダイアナ・クラールらのアルバムでの的確なバッキング・ワークなどで知られるギタリスト/ソングライター/プロデューサーとして、きっとおなじみだと思いますが。

そんなコリン・リンデンの新作、出ました。ソロ名義では6年ぶりの、たぶん14作目。初ソロ作『コリン・リンデン・ライヴ!』を出したのが1980年だから、あれからもう40年以上か。やー、時の過ぎゆくのはあっという間だなぁ。

ある時期以降、どちらかというとアコースティックっぽいアメリカーナ路線が目立ったリンデンさんながら、今回はエレクトリックもそれなりに導入したブルース・ロック路線。アコースティック・ギターも多用しているけれど、けっこうレベルぶちこんでナチュラルにディストーションかけた音色にしていたり。ごきげんです。ウッドベースの響きもなんだかアグレッシヴ。痛快な1枚に仕上がっている。

リンデンがここまで真っ向から自らのブルース・ルーツを表明したアルバムは初かも。もちろん、けっして“どブルース”って感じではなく。オープニングの「4カーズ」からいきなりボ・ディドリーのジャングル・ビートって感じだし。いわゆる3コード12小節ものばかりってわけではまったくないのだけれど。どの曲にも根っこにぶっといブルース魂がまっすぐギミックなしに横たわっているようで。しびれる。

なんでもリンデンさん、テレビからの依頼でテキサス〜ルイジアナの国境付近っぽいインスト音楽を番組に提供することになっていたらしく。18曲ほど作ったものの、新型コロナ禍とか、いろいろあってプロジェクトが棚上げに。そこで、それらの音楽に歌詞をつけて、自身のアルバムとして完成へ導いた、と。そういうことらしい。

リンデンのブルース・ルーツというと、11歳のときに見たコンサートの楽屋で直接話をすることができたハウリン・ウルフというのが最大の起点のようだけれど。その後、1970年代半ばから交流を持つようになった同郷カナダの先輩ギタリスト、デヴィッド・ウィルコックスから“お前、これを聞け”と140枚のブルース・アルバムをもらったのもでかかったようで。それらを聞き倒しながらブルースの何たるかを学び、独自のスライド・プレイの個性を確立していった、と。

当時、まだ伝説のブルースマンたちも存命で。リンデンはサニー・テリー&ブラウニー・マギー、マディ・ウォーターズ、ジョニー・シャインズ、ブラインド・ジョン・デイヴィス、サム・チャットモンらとも共演経験あり。すごい。チャットモンに招かれてアメリカ南部へ向かい、その旅の途上、サン・ハウス、ペグ・レッグ・サム、シッピー・ウォレスとも出会うことができたのだとか。

本作『ブロウ』は、そんな素晴らしい体験を活かしつつ、自らの原点へと立ち返ったような1枚に仕上がっている。もちろん長い歳月をかけて培ったコリン・リンデンならではのスライド・ギターの味も存分にたたえながら、今なおたくましく生き続けているブルースの伝統をリンデンなりに表現。前出ルーサー・ディッキンソンや、ブラッキー&ザ・ロデオ・キングズのトム・ウィルソンらとの共作も含め、全曲がリンデンのオリジナルだ。

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