Disc Review

On Air NHK Recordings / Kuricorder Quartet (NBC Universal Entertainment)

オン・エア NHKレコーディングス/栗コーダーカルテット

栗コーダーはいい。最高。90年代、初めて耳にしたときのショックは今でも忘れない。ほのぼのしているようで、でもスリリングで、独創的で、とびきり楽しい縦笛アンサンブル。リコーダーでこんなことできるんだ、かっこいいな、と心底感動した。でも、失礼ながら、こんな長く活動が続くとは正直思ってもみなかった。結成以来もう20年以上。主役として、あるいは頼もしいサポート・ユニットとして、国内外でひょうひょうと、しかし手応えあふれる活動を着実に続けている。

で、もう4年くらい前の話になるのだけれど。2015年、NHK-FMでオンエアされた『栗屋敷~栗コーダーカルテットの夏の愉しみ~』という特番に、ぼくはちらっと協力させていただいたことがあるのだ。この特番『栗屋敷』は過去4回放送されている。そのうちの1回。番組には様々なゲストからわりと無茶ぶりっぽく寄せられたリクエスト曲に応えて栗コーダーが演奏を披露する“栗クエスト”なるコーナーが設けられていて。そのリクエストを提案するゲストのひとりとしての役割を、ぼくは担わせていただいたのだった。

光栄だったなぁ。なもんで、そうとう気合い入れて選びましたよ。厳選しました。5〜6曲提案させてもらって、そこから採用されたのがレッド・ツェッペリンの「ブラック・ドッグ」と、ブレッドの「イフ」と、ブライアン・ウィルソンの「ラヴ・アンド・マーシー」という3曲。アイデア豊かに見事なカヴァーを聞かせてくれて。まじ、感服しました。うれしかった。

そんな無茶ぶりリクエスト群を栗コーダーがあれこれ工夫しながらカヴァーして番組用に録音した音源を一気にまとめたのが、本作『On Air NHK Recordings』だ。結果、ぼくがリクエストした3曲以外にも、ピンクレディー、ももクロ、伊藤咲子、ちあきなおみ、ダイナマイツ、斉藤和義、ドノヴァン、モリコーネ、ベートーヴェンなど、歌謡曲からクラシックからGSものから映画音楽からロックからフォークから音頭ものから…もう何でもありの楽しい楽しい1枚に仕上がった。

1曲ごとに興味深いアプローチがなされていて。飽きない。ぼくがリクエストさせてもらった曲で言うと、「ブラック・ドッグ」の意外なリズム・アレンジにも心躍ったし、「ラヴ・アンド・マーシー」の心温まるアンサンブルにも泣けたけれど、ぐっと地味ながら「イフ」がやばかった。そうとう凝っていた。

あの曲、ブレッドのオリジナル・ヴァージョンはアコースティック・ギターのアルペジオが基本。開放弦を効果的に使いながら、たとえば3弦4フレットのB音と2弦開放のB音を続けて鳴らして独特の広がりを生み出していたりするのだけれど。栗コーダーは、そのアルペジオのパターンをそのままリコーダーに置き換えているのだ。別の押さえ方による同じ音が続くところは、リコーダーのほうでも別々の押さえ方で吹いたりしていて…。

このマニアックさ。やばいでしょ。意味ないじゃん、と思う方がいらっしゃるかもしれないけれど、押さえ方を変えずに音を2回続けて吹くのとは確実に違うニュアンスの世界観を見事に再現。脱帽ですよ、まじ。リクエスター冥利に尽きます。

フィジカルCDのほうは、やはりNHK-FMでオンエアされた『今日は一日プログレ三昧』でのスタジオ・ライヴ音源を収録したボーナス・ディスクとカップリングされた2枚組。こっちもピンク・フロイド、ELP、キング・クリムゾン、ジェスロ・タル、イエス、ジャントル・ジャイアントなど、選曲眺めるだけで盛り上がります。

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