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Disc Review

Dancin’ with Jazzy Beats / Big Horns Bee (Flashlight Records)

ダンシン・ウィズ・ジャジー・ビーツ/ビッグ・ホーンズビー

一昨日の土曜日、8月8日にツイートしたことの繰り返しになるけれど。

ビッグ・ホーンズビー@ブルーノート東京。こんなご時世だけに、配信で楽しもうかなと思っていたものの。メンバーからお誘いいただいたもんで。せっかくなので行ってまいりました。2回まわしのうちセカンド・ステージのほう。で、まじ、行ってよかった、と。

やっぱ生演奏は生で味わうのがいちばん。それを再確認できた夜でした。

今、この時期、ライヴの現場がどんな感じなのか、会場ごとにいろいろ状況も違うと思うので、その辺も見てみたかった。無観客のライヴハウスからの配信というやつを出演者として体験することはあったけれど、観客を入れたライヴハウス公演に客として参加するのはここ数カ月、まったくなかったことだし。

ちなみに、ブルーノート東京は想像以上に感染予防対策を実施中。入場した瞬間から、検温とか、消毒とか、とてもていねいに行なわれていて。客席も距離を取りつつの新たな配置になって。各テーブルごとに消毒のボトルもひとつずつ置かれて。安心してお酒を楽しんだり、グルーヴに身を任せたりできた感じ。こういう現場の取り組みが定着して、少しずつでも新時代のライヴのあり方というのが確立していけばいいな、と願うばかり。

で、ビッグ・ホーンズビーのライヴ。配信でご覧になった方もいらっしゃると思うけれど。メンバーも人前で演奏するのは久々ということで、少し戸惑い気味なような、でも、それを凌駕する喜びに誰もが高揚しているような、ごきげんなステージだった。

フラッシュ金子こと金子隆博(p)を中心に、井上陽介(b)、福森康(ds)、大儀見元(perc)という強力な顔ぶれが勢揃いしたリズム隊をバックに、小林太(tp)、佐々木史郎(tp, flh)、河合わかば(tb, as)、織田浩司(as, bs)、石川周之介(ts, fl)という5管ホーン・セクションが躍動する。

新曲、旧曲、取り混ぜてのステージ。新型コロナウイルス禍にあって、ちょっとずつ、慎重にレコーディングされたという新曲も披露された。ゲスト・ヴォーカルとして参加したジェームス小野田による米米ナンバーのジャズ/ファンク・アレンジ・ヴァージョンなども含め、なかなかバラエティ豊かなパフォーマンスだった。ホーンももちろんかっこよかったけれど、大儀見、やっぱりすげーな。とんでもないグルーヴ。井上陽介のプレイも刺激的だったし。いいバンドだ。

先日還暦を迎えた河合わかばへのお祝いということで、アンコールにはミナコとマリ、シュークリームシュの二人もちらっとサプライズ登場。米米クラブの各メンバーからのビデオメッセージもあった。そして、さらなるシークレット・ゲスト、米米/ビッグ・ホーンズビーと並行して河合くんが参加しているクレイジーケンバンドから横山剣、中西圭一、澤野博敬も駆けつけて。まあ、エンディングに向けて若干ぐだぐだになりつつも、なんとも賑やかかつハッピーなライヴ・パーティとなった。

管楽器というのは、一本一本だと完璧なソロ楽器で。単体で演奏されることももちろん多いわけだけれど。でも、それが複数合体したときのパワーというのはとてつもなくて。そのグルーヴ、アンサンブルがぼくは大好きなのだ。セクション全体が思いきりグルーヴするために、それを構成するメンバーそれぞれが絶対に自分のパートをきっちり演奏しないといけなくて。この、奔放さと緻密さの交錯ぶりというか、ホットさとクールさの共存というか、そういうのがたまらない。ぼくがコーラスを大好きなのもそれと同じ理由なのだけれど。

だからこそ、ホーン・セクションというのは長年培った関係性というか、信頼関係というか、友情というか、その辺も重要で。ビッグ・ホーンズビーはそういう意味でも得難い連中だなと思うのだ。

かつて米米クラブのプロデュースをさせてもらいながら、ビッグ・ホーンズビーというホーン・セクションの存在が気になり始めて、彼らを主役に据えたアルバムを初めて作ったのが1991年。もう30年近く前になる。まだ管楽器セクションをフロントに立てたファンキーなインストゥルメンタル・ナンバーとか、そういうものの市民権が今ひとつ…って感じだった時期で。でも、なんとかそういうアルバムを実現したくて、当時の米米の事務所の社長さんを一所懸命、口説き落としたものです(笑)。懐かしい。

東京で録音したファーストと、ニューヨークで現地のミュージシャンと録音したセカンドとをぼくはプロデュースさせてもらった。

当時のホーン・セクションは小林、河合、織田に、下神竜哉(tp)、そしてフラッシュ金子がまだテナー・サックスを吹いていた…という編成で。ファーストをレコーディングする前に今はなき観音崎マリンスタジオで敢行した合宿リハーサルとか、ニューヨーク行き直前、一昨年亡くなった佐山雅弘さん(p)などを交えて行なったデモ・セッションとか、DJの佐土井照仁くんとタッグを組んだ野外コンサート出演とか、B.B.キングとの共演(ビューティ近藤も一緒だったっけ!)とか、いとうせいこうとのレコーディングとか、その辺のもろもろも含めて、なんかとてつもなく充実していた覚えがある。

きわめて個人的な感慨で申し訳ないけれど、30年近く前に彼らと一緒にやったあれやこれやは、ぼくにとってもすごく意味があったんだなということを、今回のブルーノート東京公演は再確認させてくれたものです。

とともに、あれから長い歳月が流れて、それでもビッグ・ホーンズビーは今なお仲間であり続けていて。フラッシュ金子が病気でサックスを吹けなくなって以降、テナー・サックスのメンバーを補充することなく、そこを空席にしたままずっとセクションとして活動してきて。でも、ここにきてフラッシュ金子も他のメンバーも“この男なら”と認めるテナー奏者、石川くんが登場して。また改めて5管編成になって…。そういう歩みにもちょっと胸が熱くなったりする。

というわけで、今回、配信が開始されたビッグ・ホーンズビーの3曲入り新作ミニ・アルバムを聞きながら、おぢさんはいろいろ感慨にふけるのでありましたとさ。いやー…。

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