Disc Review

High Anxiety / Matt Bianco & New Cool Collective (Doxie Records)

ハイ・アングザイエティ/マット・ビアンコ&ニュー・クール・コレクティヴ

マット・ビアンコというと、やっぱりバーシアが在籍していたド初期、1980年代半ばにマーク・ライリー、ダニー・ホワイト、バーシアという3人編成で活動していたときのイメージがいちばん強いかも。ぼくもこのとき、ばっちりハマった。デビュー・シングル「ゲット・アウト・オブ・ユア・レイジー・ベッド」とか、ダン・ヒックス&ヒズ・ホット・リックスの、スウィンギーで、どこかとぼけた感触をエレクトロ・ポップっぽいアプローチで継承していて。こりゃやばい、変なやつらが出てきたぞ、と。大いに盛り上がったものだ。懐かしい。

ほどなくダニー・ホワイトとバーシアが脱退。ひとり残されたマーク・ライリーが以前のバンド仲間、マーク・フィッシャーを誘って“Wマーク”体制のポップ・ユニットとして活動を続けた時期にも、たとえば1991年、ドゥービー・ブラザーズの「ホワット・ア・フール・ビリーヴズ」のカヴァーが日本で車のテレビCMに使われて大ヒットしたり。着実にいい味を放ちつつ21世紀へ。来日も頻繁。ファンを楽しませてくれてきた。

が、その後、マーク・フィッシャーが闘病のため長期療養。2015年夏の来日公演を含め、この時期以降、バンド活動から身を引くことになった。大きな変わり目。それを意識したのか、残されたマーク・ライリーは新たにオランダのクラブ・ジャズ・コンボ、ニュー・クール・コレクティヴとタッグを組み、2016年4月、連名でアルバム『ザ・シングス・ユー・ラヴ』をリリースした。このタッグで来日も果たしている。

その年の暮れ、マーク・フィッシャーが逝去。悲報を受け、しかし、マーク・ライリーは心機一転、自身のソロ・プロジェクトとしてマット・ビアンコを継続。2017年に1枚、アルバム『グラヴィティ』を間に挟んで、このほど改めてニュー・クール・コレクティヴと再タッグを組んださらなる連名アルバム『ハイ・アングザイエティ』をリリースした、と。そういう流れだ。

今年のアタマ、両者はアムステルダムで合流してリハーサルを開始。が、その途上で新型コロナ禍によるロックダウンに。以降はアムステルダムとロンドンでネットを介してのリモート・ワーク。オンラインであれこれやりとりしながらレコーディングが行なわれた。とはいえ、さすがともにワールド・ツアーまでやった仲。コンビネーションはばっちりで、完成したアンサンブルはなかなかにアコースティカルかつ躍動的だ。

前回のタッグでは、マット・ビアンコらしいラテン、ジャズ、R&Bなどの要素をほどよいバランスで共存させた世界観を、ホーン・セクションを大きくフィーチャーした超アナログなジャズ・コンボ・サウンドに乗せて聞かせてくれていたけれど。今回もその基本路線を引き継ぎつつ、さらにレゲエ〜スカ調、あるいはクンビア調のアプローチを強めた感じ。かっこいい。

なんでも、マーク・ライリーは今回、あえてアレンジ面で自分のアイディアをあまり強く主張せず、ニュー・クール・コレクティヴ側にかなりの部分を託したのだとか。それによってマット・ビアンコ色だけではない、ちょっと新鮮なサウンドが生まれたのだろう。やっぱ相変わらず目が離せないマット・ビアンコでありました。

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