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Disc Review

Nick of Time / The James Hunter Six (Daptone)

ニック・オヴ・タイム/ザ・ジェイムス・ハンター・シックス

いやー、もう、どうなんだろう。マスクはしたほうがいいのか、しないほうがいいのか。WHOもああ言ってることだし、お医者さんや花粉症で困ってる方たちに回さないといけないから、われわれ一般人は無理に入手しようとしないほうがいい気もするし。でも、してないとそれだけで周りから睨まれたりもする妙な空気感もあるから、少なくとも電車に乗るときくらいはしておきたいし…。

そもそもマスクしたくても買えねーし。

今朝の『羽鳥モーニングショー』とか、マスクがないってネタだけで1時間半ぶち抜いてた。大変だ。ぼくの周囲でも、別に感染したとかそういうわけでもなさそうなのに、精神的にまいっちゃった人も少なくない。お上ががあたふたしてると、やっぱ、われらシモジモの不安はつのるよね。

以前も書いたことの繰り返しになるけれど、うがい、手洗い、規則正しい食事、適度な運動、そしていい音楽、これで免疫力をキープしつつ、お互いしっかりやりましょう。

てことで、今朝のいい音楽。ジェイムス・ハンターです。ダップトーン・レコードからの3作目、ザ・ジェイムス・ハンター・シックスというバンド名義では4作目、1996年にエイス・レコードから出した初ソロ・アルバムから通算すればたぶん8作目。

ぼくはその初ソロ作のちょっと前、ヴァン・モリソンのR&Bレヴューにギターとバック・コーラスで参加していたことでこの英国ブルー・アイド・ソウル・アーティストの存在を知った。その前、すでに1980年代半ばにバンドの一員としてデビューしていて。その初期バンドの名義が“ハウリン・ウィルフ&ザ・ヴィージェイズ”。ウルフじゃなくてウィルフ。で、ヴィージェイ。後追いで聞いて笑った。ソウル/ブルース/ロックンロール大好きって全力で表明している感じで。痛快この上なかった。

その時期から数えればもう35年以上のキャリアを誇るジェイムス・ハンターの新作。今回も往年のR&Bへの愛をパッションたっぷりにぶちまけている。素晴らしい。

アルバム・タイトルがかつてのボニー・レイットの名盤と一緒だけれど、それとは別物。表題曲も含め全てジェイムス・ハンターのオリジナル曲だ。のっけ、いきなり軽快かつメロウなルンバ・ビートの「アイ・キャン・チェンジ・ユア・マインド」でスタート。ジャン・ブラッドリーがヒットさせたカーティス・メイフィールド作品「ママ・ディドゥント・ライ」とか、あの辺のテイストをたたえた1曲で。やばい。こういうソウル・センスって、今どき得がたい感じ。

続く「フーズ・フーリング・フー」も、たとえば「ジプシー・ウーマン」とか、あの辺りに通じるカーティス風味。「ティル・アイ・ヒア・イット・フロム・ユー」は3拍子でスウィングするマイナーもの。お得意のサックス2本によるアンサンブルがクールだ。「ネヴァー」もメロウなコーラスとスウィートなオルガンとトゥワンギー・ギターをフィーチャーした佳曲。「ミッシング・イン・アクション」や表題曲はサム・クックっぽい感触ただようナンバー。「ブラザー・オア・アザー」は最高に心地よいグルーヴに乗せて互いに手を差しのべ合うことの大切さをさりげなく説くメッセージ・ソウル。「エイント・ゴーイン・アップ・イン・ワン・オヴ・ゾーズ・シングズ」は初期ジャズ・ロックっぽいビートが印象的なダンス・チューン…。

といった具合に、もう、えんえんめくるめく思い。かと思えば「パラダイス・フォー・ワン」のように、ナット・キング・コールを思わせる小粋な小品もあったりして。ジェイムス・ハンター、あなどれません。いや、別にあなどったこととか一度もないけど(笑)。

ダップトーン・レコードの共同オーナーでもあるボスコ・マンことゲイブリエル・ロスがプロデュース。彼がエンジニアも手がけつつ、なんと8トラックのアナログ・マルチでレコーディングされたらしい。ジャケットにも堂々とクレジットされているけれど、全曲モノ・ミックスだ。素晴らしい。もちろん、モノラルで何の問題もなし。曲の尺的にも、「ネヴァー」だけ4分をちょっとだけ超えているけど、あとは全部2〜3分台。全13曲で40分以下。ある世代以上のリスナーにとって理想的なアルバムのフォーマットだ。

しゃがれた独特の歌声も素晴らしいけど、それだけじゃなく、この人、とにかく曲がいいんだよなぁ。Ⅱ→Ⅴ進行の多用とか、メジャー・セヴンス系のコードをぶちこんでくる案配とか、絶妙だし。免疫力あがっちゃいます。たぶん。

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© 2020 Kenta Hagiwara