Disc Review

Old Habits / Treetop Flyers (Loose Music)

オールド・ハビッツ/ツリートップ・フライヤーズ

ロニー・ロスが続いたまま。彼女の歌声ばかり聞いていて、新作に全然耳が向かない。なもんで。今朝はちょっと前、去年12月アタマごろに出た盤を遅ればせながらのご紹介です。

2011年、グラストンベリー・フェスティヴァルのEMT(エマージング・タレント・コンペティション)を勝ち抜いてメイン・ステージでのパフォーマンスを獲得したツリートップ・フライヤーズ。英国ロンドンを拠点とするバンドだけれど。彼らの4作目のアルバム。年末年始のウォーキングのBGMとしてけっこう楽しませてもらいました。

2013年にアルバム・デビューしたころは、往年のフォーク・ロックというか、CSNYというか、バッキンガム/ニックス期のフリートウッド・マックというか、そういう色合いの濃いサウンドを聞かせていたっけ。でも、今回はそういう米西海岸的な肌触りは薄め。ヴァン・モリソン、フェイセズ、ロニー・レイン、スティーヴ・ウィンウッド、スティーヴ・マリオット、ジョージ・ハリスンといった偉大な先達に通じる、米国ルーツ音楽への熱い眼差しをたたえた英国ロック・バンドという風情を強めた仕上がりだ。

グラストンベリーEMT制覇からちょうど10年の節目ということもあって、パンデミックのさなかではあったものの、彼らはロンドン北東部のストーク・ニューイントンにある自分たちのスタジオ“ザ・キューブ”に集結。リード・ギターのローリー・シャーマンのプロデュースの下、ライヴ感を大切にした躍動的な1枚を完成させた。リード・シンガーのリード・モリソンによれば、“これぞ俺、これぞ俺たち、これぞ今”と言うべき自信作だとのこと。

バンド編成はちょいちょい変わっているようだけれど、今回はシャーマン、モリソン、そしてキーボードのサム・ビアーという創設時からのメンバー3人に、ベースのネッド・クロウザー、ドラムのルパート・シュリーヴ、サックスのジェフ・ウィドウソンが加わった6人編成。そこにピアノとマンドリンのリチャード・クールソン、サックスのメリディス・ディックソン、パーカッションのデヴィッド・ボーカムらがゲスト参加する形だ。

英国人的視点からスタックス・ソウルやサザン・ロックに真っ向アプローチしたような痛快ナンバーが印象に強く残るけれど、持ち前のフォーク・ロック感覚と英国バンドならではのトラッド感覚が交錯するタイプの曲もそこそこ入っていて。これがまた泣かせる。ベースのクロウザーがヴォーカルをとった「アウト・ザ・ブルー」とか、往年のロッド・スチュワートのアルバムで出くわすアコースティック・ナンバーのようなスウィートさに満ちているし。アルバム・タイトル・チューンとか、ニール・ヤングがストレイ・ゲイターズを率いて歌っているみたいなムードに貫かれているし。

けっこうしびれます。

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