Disc Review

Sticks and Stones / Lukas Nelson & Promise of the Real (6ACE/Thirty Tigers)

スティックス・アンド・ストーンズ/ルーカス・ネルソン&プロミス・オヴ・ザ・リアル

昨夜のCRTビーチ・ボーイズまつり、暑い中、たくさんのご来場ありがとうございました。主に1963年と64年、この2年間のビーチ・ボーイズの音源ばっかり、これでもかと浴びた夜でしたが(笑)。この時期のブライアン・ウィルソンの急速な音楽性の深まり具合とマイク・ラヴののびのび具合とのコンビネーションは奇跡。格別。ほんと幸せな夏の夜を過ごさせていただきました。

次回CRTは8月21日、ドナルド・フェイゲン監修によるアナログ再発が続くスティーリー・ダンをテーマにお届けします。詳細、決まり次第、またこちらにも情報アップしますね。また盛り上がりましょう!

というわけで、楽しい楽しいイベントの翌朝は当然のごとく寝坊しちゃうわけですが(笑)。そんな朝、取りいそぎさくっとニュー・リリースをひとつピックアップしておきます。もはやウィリー・ネルソンの息子とか、そういう説明も不要になってきたルーカス・ネルソン率いるプロミス・オヴ・ザ・リアル。一昨年出た『ア・フュー・スターズ・アパート』以来の新作が出ました。それが本作『スティックス・アンド・ストーンズ』。

彼の歩みについては以前のエントリーにもざっくり書いたので、そちらを参照していただくとして。バンドを結成してライヴを始めたのが2008年だったというから、すでにキャリア15年。ファーストEPを出したのが2010年夏。ファースト・アルバムを配信オンリーでリリースしたのが同年暮れ。以来、ニール・ヤングとのコラボなどを間に挟みつつ、着実にアルバムを重ねて、これがルーカス・ネルソン&プロミス・オヴ・ザ・リアル名義での8作目になる。これまでプロデュースはジョン・アラジアとかデイヴ・コブが手がけてきたけれど、今回はルーカス& POTR のセルフ・プロデュースだ。

ちょっぴりリトル・フィートを思わせるようなファンキーかつスワンピーなアルバム・タイトル・チューンでスタート。ゴスペル・クワイアに導かれてスタートしながらも神様にではなく酒に救いを求めちゃう「アルコホーレルヤ」や、酒に溺れるたびに昔の恋に思いを馳せてしまう心情を陽気なカントリー・グルーヴに乗せて綴る「エヴリタイム・アイ・アイ・ドリンク」を経て、ここ数年、カントリー関連の賞を総なめにしている印象もあるレイニー・ウィルソンをデュエット・パートナーに迎えて、ジョージ・ジョーンズ&タミー・ワイネットとかグラム・パーソンズ&エミルー・ハリスとか、そういうカントリーの伝統にのっとった男女デュオを聞かせる「モア・ザン・フレンズ」へ。

幕開けから快調。内省的なアプローチが印象的だった前作に対し、今回はより外向きかも。いい感じに前向きで、率直で、遊び心もまぶされた、バラエティ豊かなカントリー・ロック・アルバムという感じの仕上がりだ。何かを夢見て、何かに憧れ、恋をして、別れ、胸を痛め、酒に溺れ、悔やみ…。そんなテーマの楽曲が次々登場する。

ウェスタン・スウィングっぽい曲あり、ロックンロール調あり、テックス・メックスあり。多彩。個人的にはちょっとだけ洗練されたロマンチックなコード進行を伴いつつ、ウィリー翁っぽいナイロン弦ギターの響きなども効果的に取り入れた「オール・フォー・ウィンズ」って曲にハマりました。

created by Rinker
¥2,025 (2024/04/28 03:33:42時点 Amazon調べ-詳細)

Resent Posts

-Disc Review
-,