Disc Review

Turntable / Mariya Takeuchi (Moon/Warner Music Japan)

2019.09.04

ターンテーブル/竹内まりや

もう各所で大盛り上がり。竹内まりやのデビュー40周年記念3枚組アンソロジー『ターンテーブル』。

大変光栄なことに今回、ライナーノーツも書かせていただいたり、まりやさんにお話をうかがって、これとか、いくつかの記事を書かせていただいたりしているので。これ以上何か付け加えるまでもない。とにかく真っ向から楽しく、素敵な3枚組なのだけれど。

ちょっとだけ、このブログでもリリースをお祝いしておきます。今さらお知らせするまでもなくみなさんご存じのことだろうが、今回の3枚組、ディスク1が、2008年に30周年を祝って出た3枚組ベスト『エクスプレッションズ』の続編的な1枚で。『エクスプレッションズ』から漏れた過去の代表曲や、ここ10年の間に出たシングル曲などを収録した“モア・ベスト”。

ディスク2が、主にソングライターとして他シンガーに提供してきた楽曲のセルフ・カヴァー音源中心の“レアリティーズ”だ。過去のアルバムの初回限定ボーナスCDとか、シングルのカップリングとか、そういうものとして世に出たトラックが集められている。弘田三枝子とかバラキンとかの訳詞ポップスものや加山雄三のカヴァーなどもこちらに。で、ディスク3が達郎さんの『サンソン』とかでちょいちょいお披露目されてきた洋楽カヴァーものを中心とするマニアックなカヴァー音源集。

ということで、世の中的には今回の3枚組、ディスク1っぽい色合いというか、全体として『エクスプレッションズ』の続編と捉える方が多いのかも。テレビCMとかで大きくフィーチャーされているのは、ディスク2のセルフ・カヴァー音源かな。確かに牧瀬里穂への提供曲「ミラクル・ラブ」のタイアップが決まったり、ついに本格的に取り組んだ岡田有希子ものとかも必聴だし。

でも、ぼくとしては断然ディスク3だ。これが、もう、宝の山。そういう意味ではこの『ターンテーブル』、『エクスプレッションズ』の後継というよりは、むしろ2003年の傑作カヴァー・アルバム『ロングタイム・フェイヴァリッツ』の続編と捉えたい作品集だ。

杉真理+松尾清憲の双頭バンド、Boxとタッグを組んだビートルズ・ナンバーのカヴァーで聞くことができる鉄壁のコーラス・ハーモニーは、RCAからデビューした当時の、たとえば、今回のディスク1にも収められている「オン・ザ・ユニヴァーシティ・ストリート」をはじめとする初期楽曲のテイストと見事に連環を描いてくれるし。

デビュー以来の付き合いになるセンチメンタル・シティ・ロマンスや、難波弘之、佐橋佳幸ら山下達郎バンドの面々とのプレイベート・セッションで録音されたルーツ・ロック/カントリー・ロック系のカヴァーはデビュー・アルバムのB面とか、「ナタリー」とか、近年の「シンクロニシティ」とか「静かな伝説(レジェンド)」とかを想起させてくれるし。

その他、松木恒秀率いるスーパー・グループ“What is HIP”をバックに従えたポピュラー・スタンダード群も泣けるし、フレンチ・ポップス、カンツォーネもいいし。まあ、そのあたりのこともライナーノーツで触れているので、改めて繰り返すのもナンですが。

とにかく、個人的には70年代カントリー・ロックものがたまりません。ザ・バンドの「アウト・オヴ・ザ・ブルー」、イーグルスの「テキーラ・サンライズ」、クロスビー&ナッシュの「サウスバウンド・トレイン」、シルヴァーの「ミュージシャン」、クリスタル・ゲイルの「瞳のささやき」。よくこのブログでも名前を持ち出す渋谷のロック喫茶“BYG”にいるみたいな気分になる。

ぼくは今、60歳代前半で。確実にお古い世代に属する音楽リスナーなわけだけれど。でも、そんなぼくと同世代のパフォーマーが、今なお色あせることなく、こんなに瑞々しく、しかもコンテンポラリーなテイストとエヴァーグリーンな輝きとを同時にたたえながら、のびのび活躍しているんだなぁ…という、本当にうれしい事実を改めて思い知らせてくれるアンソロジーでありました。以前、ここでも取り上げた40周年記念初期オリジナル・アルバム群と併せてとっぷり楽しみましょう。

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