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Disc Review

Sister / Puss N Boots (Blue Note)

シスター/プスンブーツ

プスンブーツ。不思議なバンドだ。

いや、バンドというのともちょっと違うのかな。ノラ・ジョーンズ、サーシャ・ドブソン、キャサリン・ポッパーという3人の女性シンガー・ソングライターが集まったトリオ・ユニット。普通、バンドというと誰かリーダーみたいな人がいたり、特別に目立つフロントマン的な人がいたりして、そういう中心的存在を他のメンバーがそれぞれの持ち場で支える、という形が多いわけだけれど。プスンブーツはメンバー3人がそれぞれ等距離で、同じ存在感を放ちながら、誰が中心だとか、誰が従属しているとか、そういうことなしに歌声や演奏を重ね合わせている。

もちろんノラにいちばんの注目が集まってしまうのは仕方ないとしても、それぞれの存在感とかフィーチャー度とかはなんとなく均一。今回出たセカンド・アルバムのタイトル通り、仲のいい“姉妹”っぽい関係性というか。それが最高に魅力的だ。去年の暮れ、突如5曲入りのクリスマスEPをリリースしてファンを驚かせたけれど、フル・アルバムとしては2014年にリリースされたファースト『ノー・フールズ、ノー・ファン』以来、6年ぶり。もともとはノラがギターの練習をしたいという目的でサーシャを誘ってブルックリンのライヴ・クラブなどで活動開始したアマチュアっぽいユニットだけに、今回も思いきり“手作り”感みなぎる仕上がりだ。

ファーストは全12曲中7曲がカヴァー。残り5曲が3人によるオリジナルだったけれど、セカンドでは割合が逆転している。全14曲中、カヴァーが5曲、オリジナルが9曲だ。ノラの訥々としたリード・ギターが妙なやばさを醸し出すインスト「ジャモラ」をはじめ、「イッツ・ノット・イージー」「シスター」の3曲が3人の共作。「ナッシング・ユー・キャン・ドゥ」「ユー・アンド・ミー」がサーシャ作。クリスマスEPにも別ヴァージョンが収められていた「ザ・グレイト・ロマンサー」がサーシャとドン・ウォズとの共作。「ラッキー」「ザ・レイザー・ソング」がキャサリン作。「ユー・ドント・ノウ」がノラ作。

残る「イッツ・ア・ワンダフル・ライ」がポール・ウェスターバーグ、「エンジェル・ドリーム」がトム・ペティ、「セイム・オールド・ブルシット」がヘレン・ロジャース、「ジョーイ」がコンクリート・ブロンド、「ザ・グラス・イズ・グリーン」がドリー・パートン、それぞれのカヴァーだ。今回もまたオブスキュアなところを取りそろえてきた。さすがだ。以前からライヴでは披露していて、YouTubeとかで見ることができたレパートリーも含まれている。

プロデュースはプスンブーツ名義。演奏も全部自分たちで。今回もギター、ベース、ドラムを曲によって3人で持ち替えつつのレコーディングだ。ノラのドラムが思いのほかよいです。なんともシンプルで、無垢で。ドラムもやっぱり歌心か。ヴォーカルも3人が入り乱れ。ハーモニーも的確。けっして派手さはないけれど、今回も聞き返すうちになんとも離れがたくなる仕上がりだ。バンド仲間っていいよねー。そんな感じの1枚です(笑)。

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© 2020 Kenta Hagiwara