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Disc Review

Another Side Of Paul Carrack / Paul Carrack featuring The SWR Big Band & Strings (Carrack-UK)

アナザー・サイド・オヴ・ポール・キャラック/ポール・キャラック

独自のブルー・アイド・ソウル感覚に貫かれた素晴らしくソウルフルな歌声を聞かせるポール・キャラック。エイス、ロキシー・ミュージック、スクイーズ、ロジャー・ウォーターズ・バンド、マイク+ザ・メカニックスなどを渡り歩いた、なんというか、こう、職人肌のリード・ヴォーカリストというか、ヒット請負人というか、そういう存在としてもおなじみだろう。

近年はエリック・クラプトンとともに何度か来日し、キーボード演奏でがっつりサポートしつつ、セットリスト中1曲、かつてエイスに在籍していたときに放った自作ヒット「ハウ・ロング」あたりを、自らのリード・ヴォーカルで披露したりしてくれたものだけれど。

ソロ活動も相変わらず着実に続けていて。そのうちのひとつが、ドイツの名門ジャズ・オーケストラ、SWR(南西ドイツ放送)ビッグ・バンドとの定期的な共演。ドイツなので“エス・ヴェー・エル・ビッグ・バンド”と発音するのが正しいそうですが。このSWRビッグ・バンドにストリングス・セクションを加えたゴージャスなオーケストラをバックに、南西ドイツ放送のテレビ・スタジオでスタンダード・チューンから自作曲まで、多彩な楽曲をスウィンギーに歌いまくったスペシャル番組を制作。ドイツでは放映されたらしいけれど、そのときの音源によって構成されたアルバムも出た。題して“アナザー・サイド・オヴ・ポール・キャラック”。ディランかよ(笑)。

収録曲のうち、「カム・レイン・オア・カム・シャイン」「フォー・オール・ウィー・ノウ」「ラーニン・ザ・ブルース」「ダニー・ボーイ」「アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン」「アット・ラスト」「アイ・ドント・ノウ・イナフ・アバウト・ユー」あたりがいわゆるスタンダード・チューン。「フォー・オール・ウィー・ノウ」はスピナーズやロバータ・フラック&ダニー・ハザウェイ、「アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン」はフォー・シーズンズ、「アット・ラスト」はエタ・ジェイムスなどのポップ・ヴァージョンもおなじみか。

シンディ・ウォーカー作のカントリー「ユー・ドント・ノウ・ミー」、タイタス・ターナー作のR&B「スティックス・アンド・ストーンズ」あたりは、たぶんレイ・チャールズのレパートリーとして取り上げられたものだろう。

そのあたりに加えて、ジム・キャパルディとポール・キャラックが共作しイーグルスが歌った「ラヴ・ウィル・キープ・アス・アライヴ」、エイス在籍時代の自作ヒット「ハウ・ロング」、ニック・ロウの「ホワッツ・シェイキン・オン・ザ・ヒル」、これまたキャラックさんがかつてリード・ヴォーカルをとっていたマイク+ザ・メカニックスの「ザ・リヴィング・イヤーズ」などもジャズっぽい、というか、1960年代以降のフランク・シナトラっぽいオーケストラ・アレンジにリメイクされている。

どの曲もなかなかに達者な歌いっぷりで。確かに“アナザー・サイド”。歌のうまい人は何歌ってもシビれますな。

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