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Deluxe, Deluxe, Deluxe… / The Doors, Lou Reed, Tears for Fears, Prince

箱の襲撃〜デラックス・エディションが止まらない…/ドアーズ、ルー・リード、ティアーズ・フォー・フィアーズ、プリンス

エルヴィス・プレスリーの1970年ナッシュヴィル・マラソン・セッション箱は発売が11月に延びたみたいだけれど。来週になるとトム・ペティの『ワイルドフラワーズ』箱、月末にはグレイトフル・デッドの『アメリカン・ビューティ』50周年箱など、これからも豪勢な箱攻勢が続くんだよなぁ。11月にはニール・ヤングの特大箱第2弾も予告されているし…。

ボックスセット系だけでなく、デラックス・エディション系の再発も多い。この手の再発ものは、当然、2枚組、3枚組は当たり前で。となると聞く時間もかかるし、パッケージも大きかったりするので置き場所にも困るし、もちろんお金もかかるし…。次々リリースされちゃうと大変。いろいろ追いつかない。

特に今年の場合、もともとは年度の前半に出る予定だったらしき箱が新型コロナウイルス禍でいったん発売延期になって、それがここにきて一気に市場へとなだれ込んできた感もあり。まじ、新作聞いているヒマ、ないくらい(笑)。ここみたいな弱小個人ブログじゃ、もう紹介しきれない勢いです。

てことで今日は、ここ数日、ぼくをてんてこまいさせているデラックス・エディション系再発盤を4作ほどまとめてリストアップしておこう、と。そんな雑なエントリーです。

Morrison Hotel: 50th Anniversary Deluxe Edition / The Doors (Rhino/Elektra)

以前、ここで50周年記念盤を紹介した『ソフト・パレード』で新機軸を打ち出そうとして、でも、その意欲的な目論見が当時の世相とうまく合致せず、微妙な評価にとどまってしまったドアーズ。

1969年3月にマイアミで“例の”事件(笑)を起こして以後、ステージから遠ざかっていた時期でもあり、そんな状況下、もう一度自分たちの足下を見つめ直そうとしたのか、原点であるブルース・バンドとしての持ち味に立ち返ったアルバムが『モリソン・ホテル』だった。

オリジナル・リリースが1970年。ということで、今回も出ました。50周年記念デラックス・エディション。2CD+1LPという仕様で、CDのディスク1がブルース・ボトニックが最新リマスターをほどこしたオリジナル・アルバム。ディスク2が未発表スタジオ・アウトテイク群。そして180グラム重量盤LPによるオリジナル・アルバムが付く。

レア音源のほうは、「クイーン・オヴ・ザ・ハイウェイ」と「ロードハウス・ブルース」のセッション音源が中心。その他、「ピース・フロッグ」「ブルー・サンデー」などアルバム収録曲の別テイクはもちろん、ご存じ「アイ・ウィル・ネヴァー・ビー・アントゥルー」とか、モータウン・クラシック「マネー」とか、ブルース・クラシック「ロック・ミー・ベイビー」とかのジャム音源も楽しめる。

毎度のことながら、40周年記念エディションとはまた全然違う内容なので、どっちも持ってないと…みたいな(笑)。

New York: Deluxe Edition / Lou Reed (Rhino/Sire)

続いてはルー・リード。1989年の大傑作アルバムを3CD+DVD+2LPという仕様に拡張した『ニューヨーク』のデラックス・エディション。

かのディオン・ディムーチ親分からの暖簾分けという感じで二代目“キング・オヴ・ニューヨーク”と称された彼の音楽は、1950年代のドゥーワップ、1960年代のフォークなどから1990年代のヒップホップへと至る、時代時代のニューヨークの路上を彩ってきたさまざまなストリート・ミュージックのすべてと共通し、かつすべてと相反する、なんとも深く複雑な魅力をはらんでいるわけだけれど。『ニューヨーク』というアルバムの盤面にはそんな彼の本質が絶妙の緊張感をともなって定着していた。

その傑作の最新リマスター音源をCDのディスク1と、180グラム重量盤アナログ2枚組LPに収めて。ディスク2にオリジナル・アルバム収録曲のライヴ・ヴァージョンを収めて。さらにディスク3にはデモ音源や初期ヴァージョンなどレアものを収めて。

さらにさらに1989年にモントリオールで撮影されたライヴ・ビデオ・パッケージ『ザ・ニューヨーク・アルバム』を初DVD化して同梱。もちろんブックレットも充実していて。1989年当時のルー・リードのインタビューをもとにした新規ライナーノーツに加え、このアルバムに大きな影響を与えたと言われているガルシア・ロルカの詩集『ニューヨークの詩人』との関係を深掘りした文章などが掲載されている。

ライノのウェブ・ストアで、カセット・バンドルってのも売ってました。オリジナル・アルバムのカセット版も付いてる仕様。やばい。こっちのほうがよかったな…。

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The Seeds of Love: Super Deluxe Box Set / Tears for Fears (UMC/Mercury)

「シーズ・オブ・ラヴ(Sowing the Seeds of Love)」「ウーマン・イン・チェインズ」「アドヴァイス・フォー・ザ・ヤング・アット・ハート」(大好き!)「フェイマス・ラスト・ワーズ」など、素晴らしいヒット・シングルを生んだ1989年の名盤が4CD+ブルーレイのスーパー・デラックス・ボックスに。

ディスク1が最新リマスターをほどこしたオリジナル・アルバム。ディスク2が“ザ・サン”と題されたシングル・ヴァージョンおよびアルバム未収録シングルB面集。ディスク3が“ザ・ムーン”と題されたラジオ用のエディット・ヴァージョンおよび初期ミックス集。ディスク4が“ザ・ウィンド”と題されたデモ音源およびジャム・セッション集。

で、ブルーレイに、5.1サラウンド版、2015年リミックス版、1989年オリジナル・ミックスのリマスター版などを高音質で詰め込んで。もちろんブックレットとか、当時のツアー・プログラムのレプリカなども付いて。うわぁ…。

Sign "O" The Times: Super Deluxe Edition / Prince (Rhino/Warner)

あと、詳しく取り上げるのはやめた、と、以前このブログで書いたプリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムズ:スーパー・デラックス・エディション』。せっかくなので、これも改めてリストアップだけしておきます。1987年にLP2枚組でリリースされた大傑作アルバムの超拡張版(CD8枚+DVD1枚)だ。

まずディスク1と2にオリジナル・アルバムの2020年最新リマスターを収録。これまでこのアルバム、なんだか音質が今いちで。曲ごとのレベルにばらつきがあったり、楽器のバランスが悪かったりしていたのだけれど。それが今回の最新リマスターで一気に解消。手応えたっぷりのリマスターになっている。ディスク3はシングル用のエディットなど別ミックス集。ディスク4〜6は未発表ものをふんだんに含む秘蔵音源集。クリエイティヴィティのある種のピークを迎えていたと思われるプリンスの試行錯誤が満載されている。ディスク7と8が87年6月の未発表ライヴ音源。で、DVDには87年大晦日の未発表ライヴ映像。

全92曲中63曲が未発表ものだ。候補曲を300以上集めたとか、一時は3枚組になる予定だったとか、本作の制作過程の紆余曲折はおなじみだろうけど、そんな事実を“物理的”に思い知ることができる。例の『カミーユ』セッションをめぐる謎とか、そのあたりを改めて考察するには絶好か。マイルス・デイヴィスとの噂の共演も、音として、あるいはライヴ映像として収められているし。仕上がりに関しては微妙なところもあるにせよ、やはりマイルスの存在感は強烈。まじやばい。

とはいえ、これ、実はサブスクのストリーミングで音は全部聞けるし、DVDに入っている映像もYouTubeで全編、無料公開されたし。すごい時代になったな、と思う。今回取り上げた他のデラックス・エディションたちも、とりあえず音だけでよければサブスクで全部楽しめる。ありがたい。もし、今、ぼくが高校生とかだったら、ほんと、楽しくてしょうがない毎日だろうなぁ。

なので、このプリンスの高額なフィジカル・ボックスセットの場合は、貴重な写真とともにプリンス研究の第一人者、デュエイン・チューダール、エンジニアのスーザン・ロジャースら5人による興味深い文章や、プリンスの手書き歌詞とかを掲載した120ページにおよぶハードカヴァー・ブックレットにじっくり接したい人とか、あるいはブツがないとどうしても安心できない旧世代の音楽マニアとか、そういう方々にのみ意味がある、と。そんな感じ。

でも、仕方ない。そうやって生きてきちゃったから。もうサガみたいなものだから。サブスクがあっても、フィジカルかましちゃうわけです。安心のためだけに。つーか、むしろ別の意味で心配になってくる(笑)。何やってんだか…。

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