Disc Review

An American In Texas / Uncle Walt's Band (Omnivore Recordings)

アン・アメリカン・イン・テキサス/アンクル・ウォルツ・バンド

11月に突入して。年末特番への出演依頼を受けたり。今年を総括するベスト企画への参加を持ちかけられたり。音楽賞の審査が佳境に入ってきたり…。なんか今年もいよいよ暮れていくんだなぁ、という流れにすっかり乗っかっている今日この頃ですが。

強力な新人のデビュー。素晴らしい新作のリリース。充実のボックスセット再発。いろいろなレコードが出ましたが。世の中の認識とはまるで違うとは思うものの、個人的に今年いちばん衝撃だったリリースというと、あれです、4月にこのブログでも紹介したアンクル・ウォルツ・バンドの復刻。びっくりしたなー。

1974年に彼らが制作したデビュー・アルバムの収録曲の曲順をがらりと変えて、タイトルも変えて、心機一転、再リリースされた1978年盤にデモ音源など11トラックをボーナス追加しての復刻で。まじ、盛り上がった。

彼らのプロフィールも含めた詳細は、ぜひ以前のエントリーをチェックしていただきたいのだけれど。それだけでは終わらず、なんと、今度は彼らが1980年にリリースしたセカンド・アルバムまで再発された。まだファーストの復刻から1年も経っていないというのに。すごすぎる。快挙。

けっしてメジャーな存在ではない。基本的にテキサス州オースティン周辺のローカル・クラブ・シーンでのみ、ちょっとだけ有名だった人たち。それだけに、彼らの全盛期にアルバムを手に入れたいと思ったら、オースティンの“ウォータールー・アイス・ハウス”とかにライヴを見に行って、メンバーから直接手売りでゲット…みたいなものだったはず。そういう、ある種めんどくさい音源をCDやストリーミングでごくフツーに楽しめる時代がやってきたのだから。夢のようだ。

ぼくも彼らの存在を初めて知ったのは1990年代に入ってから。確か1991年、シュガーヒル・レコードが彼らの音源を再発したときだ。こういう連中がいたのかと驚き、遅まきながらも彼らのサウンドに出会えたことを大いに喜び、でも、決定的な情報不足と海を隔てた地の利の悪さゆえ、この人たちの全盛期に生で演奏を体験できなかったことをほんの少しだけ悔しく思ったものだ。こういうバンドやりたいなぁと、本気で考えたり…。

で、今回出た『アン・アメリカン・イン・テキサス』。これ、1990年代にシュガーヒルが曲順をいろいろいじって、ジャケットも変えて、タイトルに“Revisited”をつけて(笑)、再発してくれた盤のひとつでもあり。それだけに、ぼくにとっては特に懐かしい存在。今回は収録されていた12曲の曲順を1980年オリジナル・リリース時のものに戻して、ジャケットも元のデザインにして、さらに、1983年に彼らがカセットテープのみで自費リリースしたデモ音源集『6-26-79』(これもシュガーヒルが別タイトルで再発していたっけ)に収められていた8曲と、未発表のライヴやスタジオ音源5曲を加えて。全25曲へと拡張しての再発だ。ありがとうございます。

ボーナス・トラックはいらないって方は、オリジナル盤そのまんま復刻したアナログLPも再発になったので、そちらをゲットするのがよろしいかと。

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