Disc Review

66 / Paul Weller (Polydor)

66/ポール・ウェラー

ほんと、大人気アーティストなので。新作が出るたび、まあ、ぼくの個人ブログでちまちま紹介するまでもないか…とか、そのつど思うわけですが。でも、聞いているうちに、やっぱいい曲書くよな、この人、と。そう思い始めて。やっぱ一応取り上げておこうかなという感じで紹介してしまうポール・ウェラー。

これとかこれとかこれとかこれとか、みんなそんなですが(笑)。今回も同じような感じで一応紹介してしまいますね。

というか。“やっぱいい曲書くよな、この人”感は、今回特に強いかも。ジャムやスタイル・カウンシルの一員として過ごした11年間のあと、ソロ・アーティストとなって33年。ソロ名義でのスタジオ・アルバムとしては17作目にあたる新作の登場だ。

自身の誕生日前日、ピーター・ブレイクのデザインによるジャケットに年齢をストレートに表明する形でのリリース。これがここ数年の…というか、キャリア全般を通じたウェラーさんの試行錯誤をポップな形で集大成したような仕上がりで。ぐっときました。

ノエル・ギャラガー、ボビー・ギレスピー、サッグスらとの共作曲を含め、とにかくひとつひとつの楽曲のクオリティを研ぎ澄ました感じ。2020年に放映されたドキュメンタリー『ロング・ホット・サマーズ:ザ・ストーリー・オヴ・ザ・スタイル・カウンシル』がいい形でウェラー自身を刺激し、本来の持ち味のようなものを改めて意識し直すきっかけになったのかも。

ウェラー自身は本作を、自分にとっての“クルーナー・アルバム”と呼んでいるようで。確かに「ライズ・アップ・シンギング」って曲とか、このところのウェラー作品には欠かせないハンナ・ピールによる珠玉のオーケストラ・アンサンブルをともなった、バート・バカラック的作風の1曲だったりもするのだけれど。バカラックの曲って、けっこうソウル・シンガーたちが多く取り上げていたりして。そういうのに通じるソウルフルな感覚に貫かれており。しびれる。

ドアーズのカヴァーかと思いきや同名異曲のサンシャイン・ポップものだった「シップ・オヴ・フールズ」とか、ポップさとメランコリックさとが絶妙に共存する「フライング・フィッシュ」とか、ソロ初期を想起させるクールでジャジーな「ナッシング」(モーグ・ソロ!)とか、ウェラーさんならではの切ないメロディ感覚が炸裂するナンバーが次々と。もちろん「ジャンブル・クイーン」とか「ソウル・ワンダリング」のような、ホーン・リフやギター・リフが痛快なアグレッシヴ・チューンもある。

相変わらずいい声だし。もう、ではなく、まだ66歳…ってことで。ラストを締める「バーン・アウト」って曲では“I'm not tired of living”とか歌っているし。ますますのご活躍を、ね。

ちなみに、国内盤はこの感動のラスト・チューンの後に1曲ボーナス・トラックを追加。海外ではそれとはまた別のボーナス4曲入りのCD2枚組仕様もあり。それをヴァイナル化したLP+10インチってやつもオフィシャル・ウェブストアで売ってます。わー、どうしよう…。

66
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