
エヴリシング・イズ・オール・アバウト・ユー/デヴィッド・マイアー
今さらではありますが。ビョルン&ベニー〜ABBAの昔から、なんだかスウェーデンのポップ・ミュージックには親近感があるというか。英米のような本場ど真ん中とはひと味違う、こだわりの、でもどこかちょっとゆるめなレトロ・ポップ感とか? そのあたりに日本の洋楽ファンとして妙な共通項を感じることが多い。
メリーメイカーズもそんなスウェディッシュ・バンドのひとつだったっけ。日本でもヒットした「モニュメント・オヴ・ミー」を含む『ノー・スリープ・ティル・フェイマス』(1995年)はもちろん、アンディ・スターマー絡みの『バブルガン』(1997年)とか、盛り上がって聞いたものだ。「スーパースター」とか「モンキー・イン・ザ・ミドル」とか「エイプリルズ・フール」とか好きだったなぁ。懐かしい。
で、そんなメリーメイカーズのデヴィッド・マイアーが2018年の『ラッキー・デイ』以来、8年ぶりの新作ソロ『エヴリシング・イズ・オール・アバウト・ユー』を届けてくれました。9月末に出ていたのだけれど、遅ればせながらのご紹介です。正式なソロ・アルバムとしてはようやくこれが3作目かな。
日本ではPUFFYへの楽曲提供やフジファブリックのアルバム制作などにも関わってきたことでおなじみのマイアーさん。まあ、基本、パワー・ポッパーとして捉えられているわけだけど。今回はパワー・ポップの“パワー”のほうはちょっと抑え気味に、“ポップ”のほうに集中した感じの仕上がりで。これまた泣けます。
メリーメイカーズ時代から一貫しているビートルズやラズベリーズ直系とも言うべきメロディ感覚とか、ごきげんなコーラス、凝ったコード進行、ハイセンスな転調、いたずら心に満ちた仕掛けなど、そのあたりの持ち味はもちろん健在ながら、今回は以前にも増してピアノを音作りの核に据えた、柔らかなポップ・サウンドが印象的な仕上がりだ。
共同プロデュースはアンドレアス・ダールベック。ストックホルムを拠点に、ロサンゼルスやナッシュヴィルの仲間たちとも音源をやり取りしながらレコーディング。前作から引き続きのブラッド・ジョーンズや、スワン・ダイヴのビル・ディメイン、ライナス・オヴ・ハリウッドことジェイムス・ドットソンらがそれぞれ何曲かずつソングライティング・パートナーとして共作している。10CCやジェフ・リンズELOなどのサポートとしてもおなじみ、イアン・ホーナルもコーラスで参加。
ポップでキャッチーなホーン・セクションとコーラスが交錯するオープニング・ナンバー「セイ・イエス」から、もうつかみはばっちり。続く「サマー・サマー・サマー」は、まあ、歌詞に出てくるビーチ・ボーイズというより、マイク・ラヴのセレブレーションとか、ユークリッド・ビーチ・バンドとかを想起させる感じ。イントロの口笛から頬が緩む「ミルク&コーヒー」とか、ジャジーでノスタルジックな「コンチネンタル・ドリフター」とか、ポール・マッカートニーみたいなアコギ・パートを導入に、やがて壮大に展開していくアルバム・タイトル・チューンとか…。
今の時代の空気感がどうとか、そんなことばっかり言ってる人にはいくら話してもわかってもらえないかも、ですが。キュートなメロディがあって、素敵なハーモニーがあって、ポップなアレンジがあれば、もうそれだけでごはん三杯おかわりいけます。ごちそうさまでした。

